身体の痛みを訴えるのは老人性うつのサインかも!?
「若い場合は見るからに元気がなくなり、本人も周囲もうつ病を疑います。しかし、高齢者の場合は周囲も“年齢なりの変化”と捉えがちです」
本人も自覚しにくい老人性うつは、サインを見逃さないことが大切だ。
「わかりやすい初期症状は、食欲がない、表情が暗い、落ち着きがない、反応が遅い、イライラしている、口数が少ないなど一般的なうつ病と同じ。自覚症状は、やる気が出ない、不安な気持ちが続く、疲れがとれない、頭が重い、よく眠れないなどです」
老人性うつは、一般的なうつ病の症状に加え、特徴的な症状がある。
「頭痛や腰痛、脚の痛み、ひどい肩こり、耳鳴り、しびれといった身体的な不調を訴える人が多いのが特徴です。動悸(どうき)や息切れなど自律神経の症状が出ることも。いずれも病院で検査を行っても原因はわからないと診断されます」
これもセロトニン量が減少し、痛みなどが強く感じられるようになったためだ。
また、セロトニンの分泌が減ると不安や焦燥感が強くなる。そのうえ、高齢者は「迷惑をかけている」と思い込み、自責の念にかられやすい。これは自殺につながりやすいため、注意が必要だ。
「同じような話をするようになりますが、否定せずに話を聞いてあげてください。『一緒にいて楽しい』と思わせるようにしてあげるといいです」
寄り添う姿勢を見せ、少しでも不安と焦燥感を和らげることが大切だ。
「もし、『早くお迎えが来てほしい』『亡くなった夫(妻)のところに行きたい』など、高齢者特有の言い回しがあったときは、自殺を考えている可能性があります。
すぐに専門医の診断を受けてください。大変になったら地域の包括支援センターや介護施設などにも頼りましょう」
老人性うつのサイン
以前との変化を見逃さないことが大事。
□食欲がない
□頭痛や腰痛など身体の不調が強くなる
□記憶力が急に低下した
□睡眠中、途中で目が覚める
□入浴や着替えを急にしなくなる
□以前よりイライラしやすい
□飲酒量が増加した
「周りの人も『前と違うな』と思ったら、早めに診察をすすめてほしいです」(和田先生)