一般の消費者にできることはあるだろうか。

「円安の影響で、海外の工場に委託して製造していたものを、国内製造に切り替える動きが出てきています。そうした国産品を可能な範囲でいいので買うようにしたり、国産の海産物を応援買いしたり……。そういったところから日本経済を活性化していけば、巡り巡って皆さんの収入も上がっていきます」

 外国人旅行客と関わる機会が増える業界で働いているのなら、商売のあり方を柔軟に変えていくのもよさそう。

「外国の人は夜中まで飲み歩くことを楽しみにしています。観光地の飲食店などは、営業時間を見直してもいいかもしれません。

 また、“200万円払うから、貸し切りにして、私たちのファミリーのために特別な料理を作ってほしい”というような海外の富裕層からの注文に臆せず対応していけば、どんどん稼ぐチャンスが増えると思いますよ。多様な人との交流を積極的に楽しんでください」

 そうやって積極的な気持ちでやっていけば、みんなの暮らしもよくなる?

「悲観する必要などありません。日本は、食やエンタメの文化が豊かであるという長所を持っています。これをうまく活用していけば、国内の需要で十分成長できる国だと思いますよ。日本人みんなが日々の暮らし、そして人生を楽しむようにする、それが大事なんです」

加谷珪一●『ニューズウィーク』など数多くの媒体で連載を持つほか、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、『ひるおび』(TBS系)など、テレビ番組で解説者やコメンテーターを務める。著書に『スタグフレーション』(祥伝社新書)など

(取材・文/鷺島鈴香)