お酒で顔が赤くなる人は要注意
食道がんも、43.4%と5年生存率は比較的低い。ただし、ステージ1に限ると70.6%なので、早期発見できれば治る可能性の高いがんだ。
日本人に多い食道がんの主な危険因子はお酒とタバコ。両方を習慣にしている人は、さらにリスクが高まる。飲み込むときの胸の違和感やつかえ感などの症状が少しでもある場合は早めに医療機関で内視鏡検査を受けたい。
ちなみに、2022年に食道がんと診断された秋野暢子さんは、半年ほど前からのどのひっかかりを感じていたという。
また、お酒に弱く、少ししか飲まない人も油断大敵。
「日本人にはお酒を飲んだときに顔が赤くなる人が多いのですが、そういう人はアルコールを代謝する酵素の働きが弱いことがわかっています。
その酵素の働きが弱い人がお酒を飲むと、アセトアルデヒドという発がん性のある物質の血液中の濃度が高まり、食道がんなどになりやすいので、お酒に弱い人は少量でも無理して飲まないようにしましょう」
がんは早期に発見できれば治る可能性の高い病気だ。症状に気づいたら、「こんな症状で病院に行くなんて大げさかも」とは思わずに、ぜひ受診してほしい。
がんを予防できるサプリはあるの?
がんの初期症状には気をつけたいが、がんになるリスクを簡単に減らせることはできないのか。例えばインターネットなどで「がん予防に有効なサプリ」といった情報を目にすることも。
がんを予防できるサプリはあるのか、佐藤先生に話を聞いた。
「動物実験レベルでは、がんの予防効果が確認されているサプリがいくつか報告されていますが、人を対象とした多くの研究では、サプリ摂取の有無によってがん罹患率(あるいは死亡率)に差はないという結果でした。
さらに近年、ビタミンDおよびオメガ3脂肪酸のサプリが、がん予防に有効かどうかを調べた大規模な試験の結果が海外から報告されましたが、どちらのサプリにも、がんのリスクを低下させる効果は認められませんでした。
たしかに、ビタミンDやオメガ3脂肪酸を含む食べ物にはがんの予防効果があるという研究結果がありますが、それらの栄養素だけをサプリで摂取しても、がんを防ぐ効果は期待できないということです。
サプリに頼らずに、バランスのとれた食事から、しっかりと必要な栄養素をとるように心がけましょう」
(取材・文/八坂佳子)