お腹を壊しやすい人はタン活には不向き?
重要なのは、十分な量を体内できちんと消化吸収できるかどうか。そのためには、腸のコンディションを整えてほしいと金津さんは解説する。
タンパク質を消化吸収するためには、消化酵素と胆汁酸という体内物質が必要だが、この材料となるのもタンパク質。ところが、体内のタンパク質が不足している場合、これらの体内物質が足りず、うまく消化が進まないままタンパク質が小腸から取り込まれてしまう。するとお腹の調子を崩すハメになるのだ。
「肉を食べて胃もたれをする、下痢や便秘、ガスがたまりやすくなるという人は、うまく消化吸収ができていないサイン。いくらタンパク質を食べても、スムーズに身体に吸収されないので、いつまでたっても不足状態が解消されません。タンパク質をたくさんとるという行為が逆効果になってしまうわけです」
消化吸収できない状態を放置したままでいると、食べる量自体も減少。さらなるタンパク質不足を引き起こす負のスパイラルに。
「慢性的なお腹の不調がある人は、リーキーガット(腸漏れ)症候群という小腸の炎症を起こしている可能性も疑われます」
通常、食べた栄養素は小腸で分解され、身体で使える状態にして取り込まれる。しかし、タンパク質不足によって消化酵素が足りない上に、リーキーガット症候群で小腸の上皮粘膜の結合が緩み、“穴あき”のような状態になると、栄養素が分解されないまま取り込まれてしまう。結果的に、きちんと体内に栄養補給ができなくなる。
「タンパク質不足による小腸の消化不良状態は、タンパク質だけでなく、ミネラル、ビタミンなどすべての栄養摂取も阻害します。それを解決するには、“お腹の調子が悪いから食べる量を減らそう”ではなく、少しずつタンパク質の摂取量を増やしていくことが大切なのです」
また、リーキーガット症候群は、小麦や乳製品(バターは除く)が影響するので、依存度の高い食事をしている人は見直したほうがよい。
一方、タンパク質不足が解消されると、お腹の不調が起きないだけでなく、
「女性は月経痛やPMS(月経前症候群)、更年期障害など女性ホルモン関連の不調が緩和されるといわれています」
では、正しくタンパク質の摂取量を増やすコツは?
「無理をしないで、少量から。例えば消化しやすいひき肉はいいですね。ハンバーグや麻婆豆腐の肉の量を少しずつ増やしていき、ジワジワと消化吸収できる量を増やしていくのがおすすめ。酢やレモン果汁、大根おろしなどを一緒にとるとタンパク質の消化を助けてくれるので、量が食べやすくなります」