海外公演などにも同行し、マジックやバルーンアートの腕も上達した。だが、スポットライトが当たることはなく、常にサポート役に甘んじている自分に疑問を感じ始め、アシスタントを辞めることを決意。
出っ歯の入れ歯は6代目
「やりたいことがあるはずなのに、行き当たりばったりというか、流されちゃうんですよね」
と過去を振り返って苦笑する。
「自分一人で何かできるようにならないといけないと思ってショーパブで芸を磨くようになりました。モノマネ、マジック、アドリブ……今の僕があるのは、このとき培った経験が大きい」
「ほいけんた」という芸名もこの時代に誕生した。効果音の声帯模写を得意とするタレントのケント・フリックさんとコンビを組んで仕事をする機会が多かったため、彼に合わせるために、本名の謙一から「けんた」に。ほいは、敬愛する香港の映画スター、サミュエル・ホイから拝借した。
「当時、Mr.マリックさんがブームだったので、出っ歯をつけたMr.ガーリックというキャラをショーパブで披露していました。顔だけ見ると、さんまさんに似ているかもと思ってオーディションを受けに行ったら、また受かっちゃった! フワァー!」
さんまさん特有の引いたような高笑いが響く。'93年、『発表!日本ものまね大賞』(フジテレビ系)に出演し、司会を務めるさんまさん本人の前でモノマネを披露し、一躍脚光を浴びた。
しかし、その直後に所属事務所が倒産し、フリーに。地道に営業などでお金を稼ぎながら、'99年には自身のバルーンアートを紹介した本『ほいけんたバルーン作品集』を発売。
ちなみに、さんまさんのモノマネに必需品である出っ歯の入れ歯は、歯科技工士をしている古くからの友人に作ってもらっていて、現在のもので6代目になるという。
「アドリブで話せて、即興でパフォーマンスができたので、『東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ』の'01年のオープン時からブライダルの余興に出演していたのですが、7年後に契約が解消。もう一度テレビを目指そうと思って、さんまさんのモノマネを復活させようと思ったんですね。
でも、求められるものが増えていて、以前披露した顔芸だけでは通用しなかった。さんまさんの声や話し方まで模写できるようになって、'09年に『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』(フジテレビ系)に出演することができました」