秋の“蓄え”が冬の健康を支える
骨粗鬆症を予防・改善して丈夫な骨をつくるためには、その材料も大切。
「骨をつくるためにはさまざまな栄養素が必要ですが、これまで多くの患者さんを診てきた経験からいえるのは、骨が弱っている人の9割以上はタンパク質の摂取量が足りないということ。タンパク質の量が足りないと骨の土台をつくることができません。
自分ではとっているつもりでも足りていないケースが多いので、朝・昼・夜と毎食、意識的に摂取することが大切です」
秋が深まるこれからの季節、骨の健康面では何をするのがいいのだろうか。
「寒い時期になると出歩く時間が減り、骨も筋力も低下しがちです。秋は冬に備えて“蓄える”時期です。秋の間にタンパク質をしっかりとって、運動や、日光浴、睡眠量も十分に。骨や筋力を“蓄える”ようにしましょう。
また、自分の状態を知るためにも、定期的に骨に関する検診を受けていただきたいです」
若返りホルモンを増やす「食生活のコツ」
身体に必要な栄養素の中でも、ビタミンKはオステオカルシンの生成に不可欠な成分。欠乏するとオステオカルシンの低下を招くことがわかってきた。
また、最近の研究では、ビタミンKは骨折の予防や骨を強くする治療にもその効果が認められている。
ビタミンKは、モロヘイヤやシソ、小松菜、ほうれん草などの野菜類をはじめ、肉、卵、乳製品、海藻類、果物、お茶などに多く含まれる。特に中村先生が注目しているのが納豆。
「ビタミンKのほか、タンパク質も豊富に含まれている発酵食品ですから。私の知る中では、最高で最強の健康食材です」(中村先生)
教えてくれたのは……中村光伸先生●光伸メディカルクリニック院長。医学博士。整形外科医の知見から骨の仕組み、身体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。著書に『ひざたたき 世界一かんたんな健康法』(アスコム)。
(取材・文/熊谷あづさ)