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ー 電気代が4倍、家賃を超えたときも…

ラーメン店の倒産が増えています。信用調査会社『東京商工リサーチ』の発表によると、今年の1月から8月までのラーメン店の倒産は、前年同期比の3・5倍と激増と言っていい数字。最初に緊急事態宣言があった'20年が過去最多なのですが、それを上回りそうなペースとなっています」(飲食コンサルタント)

 倒産激増に、実際にラーメン店を営む店主の声は……。

電気代が4倍、家賃を超えたときも…

「いろいろなモノの値段が上がっている中で、特に影響が大きいのは電気代、そしてガスなども含めた光熱費がかさんでいます。まずほかの飲食店に比べて、ラーメン店は営業中だけでなく営業時間外も、絶えず稼働しておく必要がある機材が多い。常にスープを炊いている店は少なくなく、福岡でも倒産が増えているとありましたが、博多ラーメンはスープを炊き続けますから、そういった事情が大きいと思います」

 そう話すのは、都内で複数店舗を構えるラーメン店オーナー。電気代の“大食らい”はほかにも。

ゆで麺機も営業中は絶えずボッコボコに沸騰する状態で稼働しています。加えてクーラー。これに食器の洗浄機などが合わさります。電気代というのは、いろいろなものが同時に稼働し、ガッと供給量が増えることで料金が高くなると電力会社の人が言っていましたが、結果的にほかの飲食店より電気代がかさんでしまう。以前の4倍ほどの電気代になってしまい、家賃を超えたときも……

 電力自由化によって安い電力会社も選べるが……。

ラーメン店は一軒家などではなく、たいていテナントに入っています。電力会社を選べるといっても、テナント一棟での契約なので、自分では変えられなかったりします」

 電気代だけでなく、原材料の高騰も原因のひとつ。

「先日、背脂が無料ではなく有料だったことが話題になっていました。無料であることも多いのがラーメン業界ですけど、有料も当然なんです。豚の脂の値段も以前に比べて2倍くらいになったりしているので」

 9月19日、某人気ラーメン店が『X』で以下のような怒りのコメントを投稿している。

全取引業者様に告ぐ 今まで自分の中で、値上げや遅延、頼んだものがない等どんな事をされても“これまでの付き合い”を重要視してきました。相見積もりも極力しないようにつとめてきました。が、しかし!! 度重なる値上げの知らせにさすがに義理だけでやってくのも困難な状況。つきましては今後納得しがたい値上げ等の通知があった際には容赦なく取引を終了させていただきます

 前出のラーメン店オーナーも、

「公の場に投稿するのはどうかと思いますが、気持ちは痛いほどわかります。輸送費の高騰で輸入品が特に値上がりしているわけですが、うちは国産の小麦を使っていて、こっちも値上がりしています。複数の生産国で小麦が不作だった影響もわかりますが、気持ち的には“便乗値上げ”はやめてくれという感じ。あと、ラーメンはスープを取るガラが大量にあり、それはゴミになるのですが、その処理代も上がっていて……」

 原価が高騰すれば、店としては値上げが視野に入る。最終的に消費者に影響が及ぶ。ラーメン1杯1000円が当たり前の時代も遠くない?