卵巣嚢腫を症状がないからと放置していた渡辺美奈代さん。気づけば10cmほどの大きさになり、手術で片方の卵巣がなくなることを覚悟したという。術後はその病気をきっかけに、健康意識の高い生活を送っている。定期的な検診が大切だと、当時の様子を振り返りつつ語る。
夫のアドバイスで受診
7年前の10月ごろだった。30周年コンサートを終えて1~2週間ほどたち、ひと息ついていたころ、渡辺美奈代さんは、下腹部にかすかな違和感を感じた。
「あれ、もしかしてお腹が痛いかも、と。でも女性だったらたまにはあるよね、といったくらいの、本当に小さな痛みでした。なので、周りにもあまり言ってなかったんですが、たまたま漏らした“お腹が痛いんだけど”という言葉を覚えていてくれた夫が、念のため、婦人科病院で診てもらおうと」
病院に着いてからは予想もしなかった展開。診察後、医師を待つ美奈代さんのもとにドクターがやってきて、緊迫した口調でこう伝えた。
“かなり深刻な状態です。よくこんな状態でライブができましたね”
その病院では大きな手術ができなかった。手術可能な病院をすぐに探すから、一刻も早くそこで摘出手術を受けろというのである。医師いわく、美奈代さんの身体の中で卵巣嚢腫が驚くような大きさに成長していたのだ。
「そのときの診察で嚢腫が10cmもの大きさになっていたのがわかったんです。先生からは、嚢腫はあってもだいたいは2cmぐらいで、5cmからは切らなくてはならない大きさだと」
6cm以上に成長すると、卵巣の根元の血管にねじれが生じる茎捻転を引き起こし、それが血行障害の原因となって、激痛や最悪の場合、卵巣を壊死させてしまうこともある。10cmもの大きさに成長しているとなると、嚢腫はちょっとした刺激で簡単に破裂してしまう。
「それで急きょスケジュールを調整してもらい、手術していただいたんです」
美奈代さんは、まさに危機一髪の状態だったのだ。