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ー パワハラ・セクハラを助長した環境

 

  10月20日、両親に対する自殺ほう助の罪で起訴された市川猿之助被告の初公判が東京地裁で行われた。読み上げられた供述調書で“許されるのであれば、また舞台に立ちたい”と語っていたことなどが明らかになった。

「猿之助さんは歌舞伎の名門である澤瀉屋の看板役者としてだけでなく、映画やドラマでも活躍。そんな最中に起きた事件とあって、22席の傍聴席を求めて1033人が行列を作り、抽選倍率は約47倍となりました」(スポーツ紙記者、以下同)

 検察は猿之助に対して懲役3年を求刑。弁護側は“両親の自殺の意思も強かった”などと主張し、執行猶予付きの判決を求めた。

「初犯で、再犯のおそれもないとされて、判決は執行猶予付きとなるだろうというのが大方の見解です」

 高まる猿之助の復帰の可能性に、歌舞伎興行を仕切る松竹は安堵している。

猿之助さんという稼ぎ頭を失って、松竹のダメージは深刻。ほかに澤瀉屋で名のある役者といえば猿之助さんのいとこである香川照之さんですが、46歳という年齢で歌舞伎界入りしたために実力不足。香川さんの息子で猿之助の名跡を継ぐとされる市川團子くんもまだ19歳で、一座を率いるほどの度量は備わっていません」(松竹関係者、以下同)

 松竹は猿之助が復帰する道筋を立てているようだ。

「『スーパー歌舞伎』を確立し、澤瀉屋を大きく飛躍させた市川猿翁さんが9月13日に逝去しました。歌舞伎の世界では、偉大な役者の功績を称える“追善公演”という興行を行いますが、猿之助さんの心中事件の裁判と重なって、現状は検討すらできる状況ではありません。ですが、猿之助さんの復帰と合わせれば、これ以上にふさわしい舞台はありません」

パワハラ・セクハラを助長した環境

 猿翁さんの追善公演は、香川の悲願でもある。

「追善公演は亡くなった人にゆかりのある演目を行うのが通例。しかし、歌舞伎歴の浅い香川さんでは猿翁さんの芸を再現できません。猿翁さんの芸を継承しているのは、彼の愛弟子で今は澤瀉屋を離れてしまっている市川右團次さんか、猿之助さんだけでしょう。猿之助さんの再起の可能性を知った香川さんは、父親の偉業を称える舞台を作ろうと燃えているとか。香川さんが仕切って、猿之助さんが復帰を飾る舞台になるでしょう」

 ただし、一方でこんな懸念の声もあがっている。

「猿之助さんは公私で親しい人と仕事をするスタイル。彼のそういった姿勢が心中騒動につながったパワハラやセクハラを助長していたという見解もあります。猿之助さんが変わらず“太鼓持ち”と一緒にいれば、彼を取り巻く環境は以前と変わらないままだと思います」(澤瀉屋に近しい人)

 舞台の裏でも、それぞれの思惑が舞っているようだ。