半笑いで連発する「めちゃくちゃ」という言葉
このあたりから相談係の追い込みに拍車がかかる。口癖なのか、うしろめたさを誤魔化しているのか、時折笑いを混ぜながら「めちゃくちゃ」を連発しているのが聴いていても腹立たしい。
「けっこうね、今ね、若い人(の申請者)が多くて、そういった施設が結構埋まっていて、先週末すごかったんですよ。全部埋まってるんですよ」
筆者の知る限り、自立支援センターはガラガラである。全部埋まっているなんて昨今聞いたこともない。でも、若い人と言ってるからには自立支援センターを指しているのだろう。
明らかに虚偽の説明である。さっきは自立支援センターを推していたにも関わらず、今度は「全部埋まっている」と説明する矛盾に気づいているのだろうか? それとも追い返せれば矛盾してようが虚偽だろうがどうでもいいのだろうか。
次に相談係は無料低額宿泊所について説明し始めるのだが、これも嘘八百のすごい説明に「めちゃくちゃ」という言葉がしつこいほどに散りばめられている。話し言葉で繰り返しもあり、読みにくいがそのまま表記する。
「たとえば、めちゃくちゃ高齢の方で、めちゃくちゃ高齢で、たとえば社会復帰しないよ、っていうか、仕事もできないよ、なんで構わないって言うんだったら、たとえば、千葉のめちゃくちゃ山ン中…とまでは言わないですけど、駅から歩いて30分くらいですけど、そういうとこなんだったらちょっと検討はできるかなと」
これも嘘である。
足立区が住所を持たない生活保護申請者の一時待機所としてよく利用している無料低額宿泊所は方々にあって、千葉にもあるだろうが、埼玉にもあれば東京都内にもある。しかも、別に稼働年齢を過ぎた高齢者限定ではない。
竹内さんの申請を遠ざけるための全力投球ぶりが涙ぐましいが、こちらは情けなくて涙が出そうだ。しかも、「ちょっとは検討できるかな」と言った舌の根も乾かぬうちに、その可能性をも叩き潰す説明に続く。
「そこ(千葉の山奥施設)になっちゃうと、最悪の場合は仕事の問題が出てくる(交通の便が悪い)。あと、ご自身が生活保護をやめるとか、継続するにしても家を探すタイミングがわからない。費用も出せない。竹内さんが完全にショートする。なんであんまりお勧めできない。現状だと」
このセリフはどういう意味で言われたのですか?と、録音の音声が聴きづらかった部分を補足するために竹内さんに訪ねると、
「千葉の施設は保護費から10万円くらい取られるらしくって、そのため将来足立区で部屋探しをするにしても交通費をねん出できないから破綻しますよっていう説明でした」
と解説してくれた。
人生がショートするような場所に利用者を送るなと言いたい。