「歌舞伎町に子どもたちが集まるのは、同じ環境の子と出会えるから。家庭環境が悪くて自殺願望を持っている子、実際にリストカットをしている子……トー横に行けば自分と同じような子に会える。

 ホストクラブは最初は楽しくても、お金をかけないと相手にしてもらえないのでだんだん苦しくなっていく。立ちんぼでお金を稼いで、行く場所がないから通い続ける、抜け出せない負のループに陥ります」

危険をなくすには健全化しかない

 行き場のない家出中の10代に「借金は大変なことじゃないよ」と甘い言葉をささやき、食いものにするのが今のホストクラブだ。

「若いころは刺激を求めてしまうし、あり余るパワーをどこに向けていいのかわからない。だからホストクラブに引き寄せられてしまう気持ちはわかります。

 そういう危険をなくすには健全化しかない。これは僕の持論ですが、キャバクラでもホストクラブでも“夜職”と呼ばれる職業の人に、専用IDを与えては。その代わり、きちっと売り上げから納税をしていくべきだと思っています」

 あらかじめID登録を行うことで、高額の支払いを防ぐ抑制効果も期待できるという。

法的な対応が入らないと、根本的には解決できないと考えています。店に入れないようになったら、身体を売る必要もなくなりますから

 10代の子が身体を売るのは、売掛の金額を見て『もう普通では返せない』と落胆してしまうせいもあるという。

「元ホストの僕に『どの口が言う』とおっしゃる方もいると思いますが、あえて言わせてもらえば、ホストのモラルは下がったよ。ホスト時代からの僕の信念は、嘘をついたり義理を欠いたりは絶対にしないこと。夜職であっても最低限のルールを守るべきです」

材・文/池守りぜね

城咲仁 1977年9月23日生まれ、東京都出身。歌舞伎町「クラブ愛」のナンバーワンホストとして活躍。ホスト引退後は、タレントとしてバラエティー番組などに出演。現在は実家の中華料理店「丸鶴」の『丸鶴冷凍しっとりチャーシュー炒飯』をプロデュースするなど実業家としても活動している。’24年9月には、「町中華フェス」の開催を予定している。丸鶴魂 https://maruturusoul.base.shop/