「国民はそんなにばかじゃない」

この人は目先のことしか考えられないんですよね。軍事力の増強で40兆円かかりそうだと言ったそばから、減税すると言ってくる。朝日新聞の世論調査ではこの減税政策におよそ7割の人が評価していない。その先に増税があることをわかりきっていて、減税をちらつかされたって国民はそんなにばかじゃない。

 それから岸田さんは、開成高校を出ていますが、霞が関の同校卒業生の同窓会をものすごく大事にしているわけです。閣僚に初めて抜擢された小林鷹之・経済安全保障担当相、嶋田隆・元経済産業事務次官など開成OBを信頼している。財務省には開成OBが多く、財務省の言うことを聞きすぎるのも開成人脈を信用しきっているからともいえます。3代続いた政治家セレブという自信が根本にあるんだと思います。たとえそれが間違っていたとしても、安倍さんのようにそれなりのポリシーを持ってやれば一定数の国民には評価されるんです。強烈な個性もなければ政策もその場しのぎ。支持する理由が答えられないんですよね」

 一方で岸田首相を支持するというのは杉村太蔵・元衆院議員。支持率が歴代最高を記録した小泉純一郎・元首相のもと誕生した小泉チルドレンの1人だ。

「増税メガネと揶揄されることもありますが、私は国民の皆さんが言うほどダメではないかなって思うんですよ。なぜ増税が必要かといえば、超高齢社会、少子化対策といった社会保障の拡充から、ロシアや中国、北朝鮮などと隣接している日本としては防衛費も増額しなければならない。そのため、方々から少しずつ増税することで国民の負担を小さくして、持続可能な社会をつくっていきたいということが岸田政権のやりたいこと」
 
 と、支持する一方で国民の理解が得られない理由にも言及する。

「小泉さんや安倍さんと比べるとわかりにくい政策だというのは事実だと思います。理由のひとつは数値目標が明確になっていないから。安倍さんは『デフレからの脱却』として物価を2%上げていった。菅さんの場合は『コロナに勝つ』と言って、1日100万人にワクチンを打つという政策を打ち出した。岸田さんにはそれがない。だから具体的にゴールがイメージしづらく国民の皆さんに伝わらないんだと思うんですよ」