好きな気持ちと持ち前の行動力が合わさり、なんと「クレイジーケンバンド斜里町公演」を1人で企画し、今秋に実現。実行委員長を務めた。
「事務所の方とやりとりしたり、斜里町に働きかけて助成金を申請したり、最初のころはほぼ1人でやり遂げました。10月に無事終わり、みなさんから『第2回もやって』と言われているので、元気でいなくてはいけません」
次はがん完治が夢
公演準備が大詰めを迎えていた8月には、腹膜に転移したがんの手術に伴い、腹直筋を切除。腹筋に力を入れる運動が制限されるようになり、長年の趣味だったダイビングやクラシックバレエ、ヨガをやめざるを得なくなった。だが今は、ウクレレサイズのギター“ギタレレ”を新たな趣味として始めたところだ。
「ギタレレは、クレイジーケンバンドのギター・小野瀬雅生さんにすすめられて始めたばかり。まだ2回しか教室に行けていないので、これから猛特訓するつもりです」
がん闘病は今年で7年目になる。女性の死亡率1位でもある大腸がん。予防するためにも、「恥ずかしがらず検診に行ってほしい」と話す。
「お尻から内視鏡を入れる検査はハードルが高いですが、進行してしまってからでは本当に遅い。がんは早期発見することが何より大切です。最近は女性医師が担当してくれる検診も増えています。40歳以上の方は3年に1回は大腸内視鏡検査を受けましょう」
転移を繰り返してもめげずに自分のがんに向き合う“不死身”の鈴木先生。現在の夢はがんの完治だ。
「クレイジーケンバンドの公演も実現できたし、医師として自分に課したハードルも越え、たいがいの夢はかなってきました。だから、次はがん完治が私の夢。ステージ4の私が克服することで、地域の患者さんをはじめ、多くの大腸がんサバイバーの方に希望を与えたいと思っています」
取材・文/釼持陽子