痛みに耐えてしまう“ガマン強さ”も仇に

 女性の治療が遅れるもう一つの理由として考えられているのが、一般的に女性のほうが男性よりも痛みに強いという点だ。

 ホルモンの影響など理由は諸説あるが、相当な痛みも女性はガマンできる。そのため、救急車を呼ぶなどアクションを起こすまでに時間をロスしてしまうのだ。

「痛みがある場所にかかわらず、冷や汗が出る、話せない、立っていられない、顔面蒼白になる、意識が遠くなるなど、これまでに経験がないような症状があれば、身体に何かしら重篤なことが起こっている可能性があります。ためらわずに救急車を呼んでほしいと思います」

 また安田先生は「ふだんから自分の小さな症状を見逃さないことも大切」と語る。

心筋梗塞を起こした人の半数には何かしら予兆があるとされています。例えば、徐々に動脈硬化が進んで心臓近くの血管が狭まっていると、何かのきっかけで一時的に心臓の筋肉への血流が滞って、狭心症の症状が現れたりします。

 特に、運動して脈拍数が上がったときに胸がきゅっとするなどの症状がある人は要注意です」

 また安静時であっても、朝目覚めたときや、寝入りばなに、同じ状況で胸に症状が出る人も注意が必要だとか。

「目覚め時は自律神経が副交感神経から交感神経優位に変わるとき、寝入りばなはその逆です。いずれも自律神経が不安定になっており、そのことが心臓にも影響すると考えられています。

 特に女性は男性よりも安静時に心臓がけいれんするタイプの心筋梗塞が多いこともわかっています」

女性はこんな症状に要注意!
・あご、のどの痛み
・腹痛
・吐き気、嘔吐
・肩の痛み
・食欲不振
・背部痛