影響を受ける医師は特定の診療科に集中
「実は診療科によって勤務時間にかなり大きなばらつきがあり、手術や急な処置を迫られることが多い診療科は、長時間労働が当たり前になっています。上のグラフは、過重労働の目安である週60時間を超えて働いている医師の割合を診療科別に示したものです。眼科や皮膚科は10%台なのに対し、脳神経外科や外科、救急科は40%を超えていることがわかります」(室井さん、以下同)
長時間労働の多い外科や救急の医師が4月以降の上限規制で長く働けなくなり、医師が足りなくなれば当然、手術や救急患者の受け入れを中止せざるをえなくなる場面も出てくるだろう。
「高齢化が進むいまの日本は医療を必要とする人数が多くなっているにもかかわらず医師の数には限りがあり、医師の負担がますます大きくなっています。さらに、外科系では細かい作業が必要なため体力や集中力の点から高齢の医師が長く現場で働けず、もともと医師不足に陥りやすい状況なのです。一方で、比較的長時間にわたる手術の少ない眼科や皮膚科などは高齢でも働きやすいので、現役医師の数も多く、4月以降の影響は小さいと思われます」