地方の大病院が特に影響大

 また、特に医師不足が深刻になりそうなのが大都市圏より医師の数が少ない地方で、そのなかでも地域医療を支えている比較的大きな病院だという。

「これまで大学病院などから派遣されていた医師がいなくなることで、地域病院の診療機能がストップし、遠方の病院まで通わなくてはいけない状況も考えられます」

 地域の中核を担う大学病院は自分のところの医師を確保するために、地域の医療機関に派遣していた医師を引きあげ始めているのだ。

 厚生労働省が公表した医師の勤務実態調査の結果によると、2024年4月時点で、医師の引きあげにより診療機能に支障が出る医療機関は全国で30以上に及ぶことが見込まれている。

「外科など手術が必要な診療科では手術までの待機期間が長くなる可能性があります。日本人に多い胃や腸などの消化器系のがんを発見してもすぐに手術できないこともあるでしょう。脳卒中などを診る脳神経外科や、脳神経外科に次いで長時間労働をしている産婦人科や泌尿器科などでも、治療まで待たされる時間が増えてくることが予想されます」

 もっとも労働時間の長い救急科はより深刻だという。

「救急の現場では人員不足による患者の搬送困難が増加するでしょう。医師の時間外勤務が許されないと、夜間はさらに医師不足になります。そのため、夜間に救急車を呼んでも対応できる病院がなく、たらい回し状態になることも今まで以上に多くなると思います」

医師の働き方改革で大きな影響が出るのはここ!

脳神経外科

長時間の手術が必要な脳卒中などになると、医師不足による影響を受けてしまうかも

外科

日本人に多い胃や腸などの消化器系のがんを発見しても、すぐに手術できないおそれが

泌尿器科

腎臓結石や前立腺がんになっても手術を受けるまでの待機期間が長くなる可能性あり