芸能界で長年「アニキ」と慕われ、演歌でありながらパンチのある歌声で知られた歌手の冠二郎さんが1月1日、心不全のため逝去した。享年79歳。
最後の仕事で見せていた姿
1967年にデビューし、その後「アイ・アイ・アイ・ライク・演歌」というユニークなフレーズで知られる『炎』などでヒット。1991年からは3年連続でNHK紅白歌合戦にも出場。
2015年には『週刊女性』誌上でデビュー時より5歳サバを読んでいたことが報道されたものの、愛嬌のあるキャラクター性もあり、バラエティー番組などのブレイクの起爆剤ともなった。
2016年には31歳年下の歯科衛生士、味菜子さんと結婚する。当時冠さんは72歳、味菜子さんは41歳。お互い初婚だった。
その後、2020年くらいから糖尿病や虚血性心不全などで体調を崩し、心臓に負担がかかるからと好きなサウナもやめ、仕事もセーブして療養生活に入っていたという。
冠さんに最後の仕事を依頼したという、旧知の芸能プロダクション社長はこう語る。
「2022年7月に新宿で行われた、演歌のイベントに出演してもらいました。体調がよくないとは伺っていたのですが、『いいよ、久しぶりに舞台に立ちたいから』とおっしゃってくださった。
昼夜2公演だったのですけれども、昼の部で舞台を降りる際に、よろけてつまずいてしまったのです。
ご本人は非常に恐縮されていて、楽屋で『夜の部も大丈夫ですよ』とおっしゃっていたのですが、大事をとって出演を休止にさせていただきました。最後まで『申し訳ない』と繰り返されていた。本当に義理堅い方だなあと、忘れられません」(芸能プロダクション社長)
「舞台に上がるまでマネージャーさんと奥様が付き添っていらっしゃいました。何度か『大丈夫ですか』とお声がけさせていただいたのですが、終始笑って『大丈夫ですよ』と。堂々たるお姿で昼の部を歌い上げてくださいました。このステージが最後のお仕事になったようなのですが、そんな偉大な先輩と共演できたことに嬉しいながら胸が詰まる思いです」