そこに体力的、認知機能の衰えが次第に重なることで「スムーズに動けない、頭が働かない」イライラが重なって爆発し、本格的な老害になってしまうのだ。
変わることを良いと思えないのがマイルド老害
マイルド老害になりやすい人は、「変わることができない・変化が苦手」な人。
「変わることを良いと思えないのがマイルド老害。今の自分の価値観のまま生きていけたら、と思った瞬間から老害は始まっているのです」
マイルド老害が厄介なのは、自分は変化に対応できていると信じて疑わないところ。
「マイルド老害世代は、ふつうの老害世代とは異なり、現役で働いている人も多いですから、新しい価値観に対して理解を示すことができていると思っている。しかし、それは思い込みで、実際のところ理解ができていないことが多い。
いつも同じスーパーで買い物、同じテレビ番組を見て、同じ環境の人が集まるコミュニティーに参加、こうした行動をしている人は変わることが苦手、周囲からすでにマイルド老害認定されている可能性も」
わかりやすい例は、職場のお局さまだ。
「“私が新入社員のときはこうだった、この方法でうまくやってきた”とマウントをとりたがるお局さま。年下に説教をしますが、本人は説教だという自覚がありません」
自分は正しいと思い、他人からも正しいと思ってもらいたいという価値観の押しつけは、自己顕示欲の1つ。変化に対応できないのは、その強さが大きく影響している。
「“子どもは厳しくしつけないとダメよ”など、求められていないのに自分が行ってきた子育てを、子や子のパートナーに教えるのも自己顕示欲。“求められていない”というのがポイントで、いわゆる“おせっかい”もマイルド老害です。自分はおせっかい気質だと思う女性は、腫れ物扱いされるお局になる前に、早い年代から“兆候”が出ていると自制したほうがいい」
また、「年末年始は家族全員集まらないとね」、「お彼岸はみんなでお墓参りに行きましょう」 と、子や子のパートナーに強要するのは、昭和の常識や世間体に執着しているがゆえに出てくる発言。
「反対されて引き下がれればいいのですが、悪気はなくとも自分の常識に従わせようとするのは要注意。昭和の世間体は、現代には無用です」
では、そんなマイルド老害を予防・改善する方法とは?
「変化を受け止める練習をすることです。いつもの習慣やルーティンをしているだけよ……と思うかもしれませんが、それは“私の人生に変化はいらないし、譲らない!”という老害マインドが進んでいる証拠。気が乗らないかもしれませんが、小さなことから始めてみましょう。例えば、毎朝、違うテレビ番組を見るなど、日々の生活に小さな変化を入れるだけでも、脳が刺激されて柔軟な考え方を持つ訓練になります」
いつもの友人との付き合いに固執せず、異なる価値観を持つ人が集まるコミュニティーに参加するのも効果的。
「若者や立場が異なる人たちの話を聞く、多様性を受け入れ知見を広げていくことも重要。凝り固まった考えが刺激され、老害化が防げます」