また8秒間にとるべき行動を知識として知っていても、大地震発生時、とっさにこれらの行動をとるのは難しい。
「罹災経験がある高校生220人に調査を実施したところ、安全な場所を探す、机の下に隠れるなど行動がとれた人は35%ほど。反対に何もできなかったという人が38%でした。
学校で避難訓練をして、ある程度の分別がつく年代でも、適切な行動をとることは難しいことがわかります」
そこで、普段から心がけたいのが、イメージトレーニング。つまり大地震がきたときの家の中でどう動くのかや、よく通る道、よく行く場所がどうなるかのシミュレーションだ。
「突き上げるような大きな揺れがくると、タンスや冷蔵庫など大型の家具や家電が動き出して倒れたり、窓ガラスや食器が割れて床に破片が散乱したりします。
道路では塀や自動販売機などが倒れたり、電線が切れたり、ビルのガラスが割れて降ってきたりするかもしれません。
大揺れでは想定外のことが起こりますから、物が倒れてきたり落ちてきたりしないかを十分に検討して、安全な場所を確保しておきましょう」
スーパーや学校、パート先など屋外施設の場合は避難経路も必ず確認しておこう。
家具の転倒防止やガラスの飛散防止など、一般的な地震対策を施すこともお忘れなく。
「そして、実際に、3つの動物のポーズをたびたび練習しておくこと。そうすれば、いざというときパニックにならずに命を守る行動がとれるはずです」
お話を伺ったのは……清永奈穂さん●立教大学大学院修了。ステップ総合研究所代表。阪神淡路、能登の地震等を25年余り研究。『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』(岩崎書店)など地震に関する著書も多数。
取材・文/中西美紀