2022年にも福島県など4県にまたがる尾瀬国立公園内で、ハイキング中の人々が「只今、NHKの番組の撮影中です。」とのボードを掲げたクルーに足止めされる事案が発生。これが画像付きでX(当時はツイッター)で拡散されると、瞬く間に炎上騒ぎに。
「通行止めをするような撮影は聞いていない」とする公園管理者に対し、NHK広報局は「必要な許可を得て行っていました」と説明しつつ、歩行者を足止めしたことには「安全などに配慮」と弁明したことで、さらなる批判を浴びている。
「いまだ本局を含めた一部のテレビマンに“選民意識”が強い人がいるのも事実」と声を顰めるのは、キー局の番組制作を請け負う制作会社プロデューサー。
一般人を“素人さん”と呼ぶ業界の風潮
「テレビで“使ってやる”“紹介してやる”“撮影してやる”との上からの意識が変わらず、自分たちは特別な仕事を任されていると思い込んでいる。業界用語として悪意なく使われている“素人さん”も、一般の方を下に見る風潮の名残とも言えます」
それでも、かつてのロケ現場では「うるさい」「通れない」「邪魔」などの苦情が寄せられることも多かったが、近年では住民との接し方にも気を遣っているよう。
「最近は各地でロケを誘致、協力してくれるフィルムコミッションも多くなりましたからね。それでも近隣からクレームや苦情が入った際にはまず謝罪して、丁寧に事情を説明、謙虚な姿勢で応対することを指導しています。当然、SNSに投稿されることも想定してのことです。
とはいえ、局が声高に唱えている“働き方改革”のしわ寄せが制作会社にきているのも事実。特に大掛かりなロケは撮影期間、時間内に撮らなければならないプレッシャーもあって現場スタッフは疲弊、ピリピリする毎日。
もちろん住民の方にしてみれば、そんなテレビマンの事情は“知ったことではない”のは承知。こうしてトラブルが表沙汰になるほどに、人気番組であるほどに評価を大きく下げてしまう可能性があることを肝に銘じないといけません」(前出・プロデューサー)
視聴者に逃げられてしまう前に、か。