時短と効率を重視する結婚生活は味気ない

 ゆうまさん(37歳、仮名)はメーカー勤務で年収600万円です。

「僕の年収だと、女性にも働いてもらわないと子育てをしていくのは難しいと思うんです。結婚したら、家事は分担していくつもりです」

 こう言って婚活を始めたのですが、先日、“結婚後も仕事は続けたい”と希望しているかずえさん(35歳、仮名)とのお見合いを終えて、苦笑いしながら言いました。

「彼女は、会社でも男性と肩を並べて仕事をしているそうで、会社での仕事ぶりは、高く評価されているとご自身がはっきりおっしゃっていました」

 さらにかずえさんは、こんなことを言ったそうです。

「直属の後輩女性が、とても仕事が遅い。そのことを上司に愚痴ったら、『みんながアナタと同じように仕事ができると思っていたら大間違い。それがストレスにつながるよ』と言われたんです。その言葉を聞いて、ハッと我に返って反省しました」

 これを聞いてゆうまさんは、“仕事ができてすごいですね”とは言えなかったそうです。逆に自慢話をされているようで鼻白んでしまいました。さらに、結婚後の生活については、こんな話も。

「今、優秀な家電が多いから、結婚後は家電を充実させて効率よく家事をしたいですね。料理も宅配システムを利用すれば、時短で栄養バランスが取れたものが作れますし」

 ゆうまさんは、ため息まじりに筆者に言いました。

「彼女と結婚したら、なんだか味気ない生活になるなと思いました。料理上手で、優しくて、男を立ててくれる、そんな女の人を求めるのは今や時代錯誤なのでしょうが、なんだろうな、なんでも男女平等、なんでも分担、家事は効率よくって、どうなんでしょうか。柔らかくていい匂いのする女の人のイメージが、彼女と話していたら無機質な鉄の女のイメージになりました」

 確かに、「結婚したら、僕のために美味しいご飯を作ってほしい」とは、言えない時代になってきるのは、少し寂しい気もします。

家事能力よりも自己成長が大事

 ようこさん(39歳、仮名)は、婚活して3年になりますが、「なかなか理想の男性に巡り会えない」と言っています。

「お見合いのときはいいなと思っても、お付き合いに入ってみると、どうも男性の幼稚さが垣間見えてしまうんです。特に、実家暮らしの男性は、“子ども部屋おじさん”が多い。これからお相手を選ぶときは、実家暮らしの人は避けて、一人暮らしをしている人にしよと思います」

 そうして、ある上場企業に勤めるえいたさん(45歳、仮名)とお見合いをしたのですが、2度目のデートを終えて、「交際終了にしてください」と連絡をしてきました。

「えいたさん、お見合いのときは、『女性も結婚後に仕事を続けたければ続ければいい』と言っていたのですが、この間のデートで、『女性の仕事は会社の歯車の一つ。男性の仕事とは根本的に違う』みたいな発言をしたんですね。根っこでは男尊女卑の考え方がある方なんだと思いました」

 そんなえいたさんにようこさんは、こう言い返したそうです。

「女性の中には、男性よりも優秀に仕事をしている人がいますよ。男性、女性関係なく、仕事にどう取り組むかは、人によると思います。結婚に対してもそうです。結婚して家事能力を磨くことも大切ですが、それ以上に大切なのは個人の自己成長だと思っています」

 自立した女性が増えています。ジェンダー平等が言われている時代だからこそ、結婚観も変わってきています。ですが、夫婦にとって重要視すべきは、お互いが平等であることよりも、お互いをパートナーとして思いやることを先に考えた方が幸せになれると思うのですが、いかがでしょうか?
 


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル