血糖値のアップダウンが激しいと、脳が血糖値が下がりすぎたと勘違いして過剰にホルモンを分泌してしまう。不安や落ち込みは、気分や性格的なものというより「症状」だったのだ。
「私もそうでしたが、社会人1年目や、環境の変化が大きい時期にメンタルが落ち込みやすくなる。それは食生活が乱れているサインともいえます」
血糖をコントロールすることで更年期症状が楽になった方も
その後、結婚や出産を機に、栄養学に基づいたバランスのいい食事を心がけるようになった岡城さん。低血糖を起こさないために、血糖値を比較的緩やかに上げるでんぷん質を含んだ干しいもや甘栗、でんぷん入りの無添加だしなどを食事の合間に補食として取り入れた。
こうした食品をうまく取り入れることで、漠然とした不安やイライラすることが減っていき、気持ちが安定してきたという。
岡城さんは会社の事業を通して、延べ1000人余りに血糖コントロールの指導をしてきた。その過程で、低血糖によるさまざまな症状で悩む人を見てきたという。
「血糖値は健康診断では数値が高いとなんらかの指導がありますが、低い分には何も言われないんです。でも、疲れやすかったり、メンタルが不調だったりなど、しんどい毎日を過ごしている人が多い」
また、低血糖による更年期症状に悩む人も少なくないことを実感しているそう。
「更年期症状と聞くと女性ホルモンによる治療を連想する方が多いと思うのですが、体質改善には順番があります。まずは血糖のコントロールや胃腸のケアをして栄養の吸収を高め、それからホルモンバランスを整えるほうが効率的です。実際に、血糖をコントロールすることで更年期症状が楽になった方も多くいます」
多少の体質差はあるものの、低血糖は、ほぼ誰もが関係あると岡城さんは語る。
「血糖値は漠然と“高いと病気のリスクがある”といったイメージしかないのではないでしょうか。でも、低血糖の状態に陥ることも日々誰にでも起きることで、この頻度が多ければ多いほど、メンタルに影響を及ぼすのです」
では、低血糖を防ぐためには、具体的には何をすればいいのか。
「まずはカフェインを控えること。カフェインをとりすぎるとアドレナリンが分泌され、血糖値が乱れやすくなります。また、よく噛むことは血糖値の上昇がゆるやかになるのでおすすめです」
この低血糖を起こさない食事術を心がけることで、物事に集中できるようにもなるという。
「私も短時間で家事や仕事を終えられるようになりましたし、気分的に安定していると心にもゆとりを持てます」