どういうことか。

「弁護士は依頼人のために一途に尽くす、というのは絶対に必要なことですが、依頼人の言っていることが真実か真実でないのかは、本当にわからないんです

 ドラマでは、殺人容疑で逮捕された男が本当に犯人なのか判然としないまま物語が進行していく。男は“無実”を訴え続けていたが……。

「不法侵入した弁護士がいるという噂も」

犯行に及んでいるのに“やってない”と話す人がいる一方で、本人が“やりました”と話したとしても、それが真実ではない可能性もあります。例えば、警察による取り調べで嘘の自白をした結果“やった”と言い続けてしまう人もいれば、人生を諦めて投げやりになり、犯行に及んでいないのに“やった”と話す人もいます。弁護士が依頼人から嘘をつかれることは実際によくあるんです。だからこそ証拠が多数あろうが、依頼人が“やった”と言おうが、それが真実だとは思い込まないようにしています」

 弁護士には、真実を見通す感覚を養う必要があるようだ。一方で、容疑者を弁護する主人公に反発する北村匠海が演じる新人弁護士のように、先入観に惑わされる人もいるという。

性加害事件で多いのですが、正義感の強い若手弁護士などは依頼人に対して“絶対にやっているに違いない”と、真実はわからないのに思い込むケースがあります。その結果、依頼人への態度に出たり、同じチームの弁護士と衝突することもあります」

 証拠を入手するため、ドラマのような“際どい”手法をとることはあるのか。

ドラマでは、大学の構内に学生と偽って入りますが、これは不法侵入になる可能性がある犯罪行為ですから、違法な調査はやるべきではありません。ただ、調査のために侵入が禁止されている場所に入った弁護士も現実にはいるようです。あくまでも聞いた話ではありますが

長谷川博己が主演を務める日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS公式ホームページより)
長谷川博己が主演を務める日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS公式ホームページより)
【写真】鈴木京香の自宅に通いつめ、献身的にサポートした長谷川博己

 危ない橋を渡る弁護士も、少なからずいるという。ドラマといえど、なかなかリアルに描かれているようだ。

 劇中では法律用語も多く、演じる長谷川も苦労したのではないだろうか。

「役づくりのため、実際の裁判を傍聴したそうです。それでも、難しい法律用語が頻出する長いセリフも多く、撮影では苦戦しているみたいです。4月11日、長谷川さんはドラマの宣伝のために朝の情報番組に出演予定だったのですが、寝坊して遅刻していました。“生放送に緊張してなかなか寝つけなかった”と話していましたが、疲れがたまっているのかもしれません」(スポーツ紙記者)