弁護士の見解
祝い花に水原被告や大谷選手の名前を使うことは、法律的に問題はないのか。
「まず、刑事上の責任についてですが、本人に許可なく祝い花に名前を使用し、そのことで客を“だまし”、客が“金を払った”ことの因果関係が証明されれば、詐欺罪が成立する可能性はあります」
ただ、その因果関係について、証明するのは難しいそう。
「開店の祝い花に書かれた有名人の名前を見て、入店する人は多くはないでしょうし、それがどれほど入店する決め手になったか、それがなければ入店してもお金は使わなかったのか、といったことを立証することは、なかなか難しいと思います」(正木弁護士、以下同)
民事上の責任については、『パブリシティ権』への侵害にあたると考えられる。
「『パブリシティ権』とは、法律上、明示的に認められた権利ではなく、人格権に由来する権利として、裁判例上、認められてきた権利です。
具体的には、野球選手や芸能人といった有名人が、その氏名や肖像の有する顧客吸引力を経済的に利用する権利です。無許可で有名人の氏名を使えば、そうした有名人の顧客吸引力を無断で利用することになりますから、当該有名人のパブリシティ権を侵害することになり、不法行為による損害賠償請求の対象となり得ます」
どのような行為がパブリシティ権の侵害に当たるかについての判例は、以下のように分けられる。
【1】肖像等、それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
【2】商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合
【3】肖像等を商品等の広告として使用する場合
「祝い花に勝手に名前を使用する行為は、このうちの《【3】肖像等を商品等の広告として使用する場合》に該当するのではないかと考えられます。そのため、もし名前を勝手に使用された有名人本人から訴えられたら、損害賠償を支払うことになる可能性が高いでしょう」
軽率に“翔平売れ”にあやかるのも、イタズラに人の名前を使うのも、法律的にはやっぱりアウト。
◆弁護士プロフィール
正木絢生 弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
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