子ども世代に迷惑をかけたら「本末転倒」

収入が上がった分、使う額も増えてしまう

 収入が増えると気持ちが大きくなり、生活コストが上がるのが人間の性。

「社会保険料や税金も上がり、さらに浪費によって今までの貯蓄が減ることも。一度上がってしまった生活水準を下げるのは簡単ではありません。老後を見越し、生活レベルはむしろ下げることを考えて。増えた収入は投資に回せるとベストです」

 会社員なら55歳以降は役職定年により一般的には収入が減るので、家計管理の徹底をしていこう。

子どもや孫におごったり、お小遣いをよく渡す

 休日に一緒に出かけて、成人した子どもや孫に食事をおごったり、洋服を買ってあげていないだろうか。

「かわいくて、ついついお金を出してしまう気持ちもわかりますが、塵も積もれば山になり、少しならいいやという考えは要注意」

 誕生日など機会を限定し、無理のない範囲で行おう。

「子どもや孫へあげるお金も年間の予算を組みましょう。自分たちのお金が尽きて、子ども世代に迷惑をかけるのでは本末転倒です」

※写真はイメージです
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将来の年金支給額、退職金を把握していない

 定年後の大切な資金がどれぐらいもらえるかを前もって知ることは重要だ。この金額がわからないと、老後資金の貯蓄計画が何も立てられない。

「不安なら、とにかく夫婦で年金事務所へ。自宅に届く『ねんきん定期便』に書かれていないプラスαの年金がある場合もあります。加えて、年金受給開始の繰り上げや繰り下げた場合の金額も聞きましょう」

 また、定年退職時に今までにない大きなお金を手にすると、“ご褒美”と勘違いして浪費してしまい、老後貧乏になる人も多い。

豪華客船の旅や車の買い替え、家のリフォームなどにつぎ込んでしまい、あとで困るんです。事前に会社の制度を調べて退職金額の見当をつけたら、その総額を今までの生活費で割ってみて。意外と数年で使い切ってしまうとわかれば、1円たりとも浪費できないと気づくはずです

山中伸枝さん●ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・わかりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆を行う。
山中伸枝さん●ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・わかりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆を行う。

教えてくれたのは……山中伸枝さん●ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・わかりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆を行う。


取材・文/オフィス三銃士