「1960年の栃木県桑絹村村長選は、人口約1万7000人に対し、200人を超える大量の立候補者が出ました」
今回の都知事選では、立候補者の多さからこの村長選がよく引き合いに出される。
「立候補者多数という点は似ていますが、事情はまったく異なります。この村長選は村の合併問題が根底にあり、派閥の対立があった。一方の派閥が正攻法では勝ち目がなく、世間へのアピールで、大量立候補がマスコミに報じられることで、注目を集めようと考えたためでした」
「誰にも入れたくない」
今回の都知事選では、ポスター枠が事実上、販売されているが……。
「“偽造投票用紙”を販売するグループが現れたのが、1995年の岡山県勝北町町議会選。この選挙では投票総数が投票者数を上回る異常な事態に。開票すると、印刷が薄く、紙質も異なる不審な投票用紙が122枚も見つかった。結果、候補者17人中10人が起訴され、このうち当選者は9人。さまざまな陣営が、別の第三者の手を使って不正を行ったという点が非常に珍しい」
今回の都知事選を、マニアはどう見るか。
「ポスター枠の“販売”など、聞いたことがありません。日本の選挙の歴史に残る選挙になるかと。4月の衆院東京15区補欠選挙では選挙妨害が問題になったこともあり、今回をきっかけに公職選挙法の改正も考えられます」
「現職にも有力候補にも泡沫候補にも誰にも入れたくない」といった声も多数上がっている今回。はたして結果は。そしてそれより大事な結果の先にある未来は─。