竹中の芸能界デビューは『ザ・テレビ演芸』('83年)。かの有名な“笑いながら怒る人”でチャンピオンに。翌年にはピンク映画『痴漢電車 下着検札』に準主演。

「ちょうど顔まねでデビューしたてのころで、滝田洋二郎監督がそれを気に入ってくれて」

 俳優として、映画監督として。そのキャリアは40年に。“劇団 青年座”時代を含めれば、さらにだ。

「振り返るとあっという間でしたね。あっという間の1年が100個集まったのが100年って考えたら、人生が長いとは思えない。生きていること自体、あっという間」

【呼ばれたら行く俳優】でいたい

 しかしながら、竹中は歳を重ねても老ける印象がまったくない。

「やめてくださいよ。もう足腰ボロボロで、声もへなちょこになって。今、舞台(『正三角関係』東京芸術劇場プレイハウス、8月25日まで)をやっているんですが、へなちょこになってます。明日もまた演るんだなと思うと、ドキドキです」

 意外すぎる言葉が返ってきた。

「若いときからそれはまったく変わらないです。毎夜セリフを忘れる夢を見ますしね」

 それでも役者という仕事を選んでよかったかと尋ねると、

「いや、もうそれしかできないです! だからどんな仕事でも呼ばれたらすぐに行く俳優でいたい。“脚本読んでからね”って言葉は嫌いです。たとえ“この脚本、つまんねぇな”と思っても【呼ばれたら行く俳優】でいたい。それは変わらないな……」

龍馬役の赤楚くんがチャーミング

 本作の撮影で印象に残っていることを聞くと、

「観月ありささん(紫式部)がキレイだった。長井短ちゃん(聖徳太子)が可愛かった。長井さんは僕が監督した作品にも参加していただいていて、まさか一緒になるとは思わなかったからびっくり! 江口のりこさん演じる北条政子はすごくインパクトがあった。浜辺美波ちゃん(新人記者)も可愛かった。赤楚衛二くんも、なんてチャーミングな坂本龍馬なんだろう!って思いました。メイクを落とした素顔を見たらあまりにもピュアな青年で。そして酒向芳さん(日本党幹事長)! なんとも言えない佇まいでした……」

映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(c)2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(c)2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会
【写真】5度目の秀吉役に挑んだ竹中直人、オーラ全開の“殿さまショット”

公開中『もしも徳川家康が総理大臣になったら』
出演/浜辺美波、赤楚衛二、GACKT、観月ありさ、竹中直人、野村萬斎 ほか
(C)2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会