とはいえ、SNSの声にもあったように、放映中に亡くなった人をCMキャラクターとして使い続けることに、何か制限などはあるのだろうか。企業の広告事情に詳しい経営コンサルタントの小野裕介さんがこう解説する。
法的な問題はあるのか
「放送法にひっかかる、といったようなペナルティー的なものは一切ありません。その企業のスタンス次第です。『買取福ちゃん』の場合、利用したいと思う人たちと、中尾さん夫妻の知名度や年齢層が合致します。また、『亡くなった中尾さんとの絆を大切にしている』という実直な企業理念もアピールすることができ、中長期的なブランドイメージをつくりたい企業にとってはまったく悪いことではありません。あとは権利継承者となる所属していた事務所や家族が、いつまで起用を認めるかになると思います」
なお先日、タケモトピアノが長年CMキャラクターを務めた財津一郎さんをリスペクトした新CMを発表したことでも話題になった。これもまさに「ブランドイメージのために故人を起用する」という一例だろう。
「一方、常に最先端をアピールするため、ブランドイメージを固定したくない企業もあります。日本コカ・コーラ社などは、そのため同じイメージキャラクターと3年以上は契約しないといいます。唯一例外だったのが、缶コーヒーブランド『ジョージア』のイメージキャラクターを務めた山田孝之さんだったと聞いたことがありますね」
さすがカメレオン俳優! ところで、亡くなった方を使用し続けることで、一番割を食うのは誰になるのだろうか。
「広告代理店ではないでしょうか。故人を使用した新しいシリーズのCM制作を提案することが難しくなり、制作費や手数料が激減してしまうでしょうから」(小野さん)
これからも中尾さんの「福ちゃんだね!」を聞き続けられるようだ。