「この度、弊社で販売いたしました『加賀美健』さんとのコラボ商品の一部商品につきまして、ご不快な思いをさせてしまう表現がありましたこと、深くお詫び申し上げます。皆様から頂いたご意見を検討した結果、商品の販売を中止させて頂くことと致しました。今後この様なことがないように、お客様視点に立った商品企画を行ってまいりますので何卒よろしくお願い申し上げます」
この謝罪を受けてもなお、Xでは批判が絶えない。「なぜ企画が通ったのか」「販売前に気づかなかったのか」「炎上は予見できたのでは」といった指摘が相次いでいる。
しかし、インスタグラムに目を向けると、バースデイに好意的な反応が目立つ。謝罪投稿には「ネタに反応するなんて世知辛い」「販売中止はやりすぎでは」「これに反応する人は、心当たりがあるのでは」「いちいち謝罪するとクレーマーが増えるだけ」といった論調から、コラボを擁護するコメントが並んだ。
いまだ残る「パパなら皮肉ってもいい」という風潮
今回のコラボ商品が炎上した、もっとも根幹にあるのは「男女の役割分担」に対して、社会の目が鋭くなっている点だ。つい先日も、大正製薬「リポビタンD」の広告が、女性イメージキャラクターの写真に「仕事、育児、家事。3人自分が欲しくないですか?」とのキャッチコピーを添えたことにより話題となったばかりだ。
なかでも「育児は女性のもの」といった固定観念のもとでの発言は、すぐさま問題視されるご時世と言える。とくにバースデイは、育児まわりの業種だからこそ、より「燃えやすい題材」であると気づけたはずなのだ。
それでもなお、今回のような商品が出たのか。その背景には「パパなら皮肉ってもいい」という風潮が、一部存在していることがある。筆者が過去の炎上事例で思い出したのが、「牛乳石鹸」のウェブCMだ。
2017年に公開された動画で、親子3人暮らしの夫を主人公にしている。息子の誕生日でケーキとプレゼントを買った主人公だが、会社の後輩をなぐさめるため、飲みに連れていくことに。帰宅した主人公に、妻は「なんで飲んで帰ってくるかな」。そして主人公は入浴し、妻に謝罪するーー。
このドラマ仕立てのCMには、「そもそも意味がわからない」といった声に加えて、作中で描かれた「父親像」への違和感も指摘された。あれから7年がたったが、いまなお「父親は家庭をおろそかにする」といったステレオタイプは残っているのではないか。
昔と比べると、今の時代は「協力的なパパ」が増えているはずだが、広告表現などインパクト重視の世界では、まだまだイメージは変わっていないと考えられる。