配当金を見込める優良企業の見つけ方
次に、少しリスク許容度を上げて、個別株に挑戦すると、投資の楽しみが広がる。
「株には3つの楽しみがあります。1つは売却益。買ったときよりも株価が上がれば、その差額が利益に。2つ目は企業が生み出した利益の一部を株主に還元する、配当金。3つ目が株主優待。その企業の製品や割引券などさまざまな優待があります」
前述の投資信託のように、株も手間暇かけずコツコツ増やす方法があるという。
「よほどのことがない限りは暴落しない安定株を、毎月購入して積み立てていくのです。例えばNTT株。7月時点の株価は158円ほど。1単元(100株)1万5800円で買えるので、手元の資金があまりなくても始められます。
毎月25日など購入日を決めて買い付け注文を出すだけなので、手間もかかりません。NTTの配当利回りは約3%。積み立てた資産の3%を毎年配当金として受け取れます」
配当金は、株を保有しているだけでもらえる、まさに“ほったらかし投資”の王道。
ただし株価は変動するので、利益が確約されているわけではない。企業の業績によって支払われないこともある。
「長期にわたって配当金を株主に還元している安定企業を探すには、日本経済新聞社が公表する『連続増配株指数』と『累進高配当株指数』を参考にするとよいでしょう。この2つは企業の配当に着目した指数です。
連続増配株指数に選ばれた企業は、原則10年以上、増配(前期よりも配当金を増やすこと)を続けています。
10年、20年の間には東日本大震災やコロナショックなど経済が不況のときもありますが、それでも配当金を増やすことができたわけです。つまり安定した利益をあげている優良企業といえます」
ただしこれらの優良企業の多くは株価が高く、積み立てには向かない。ボーナスなどまとまったお金が入ったときに購入を検討するとよいだろう。
「最後に、みなさんにお伝えしたいのは、ここで紹介した株や投資信託は低リスクではあるものの、元本割れするリスクもあります。投資は絶対に、余剰資金で行ってください。生活に必要なお金を投入しないこと。心とお財布に余裕をもって行うのが、ほったらかし投資の成功の秘訣です」
たけぞう著『月1万円 ほったらかし投資』(主婦と生活社)
株式投資の酸いも甘いも噛み分ける、元・敏腕ディーラー、たけぞうさんが、初心者向けに綴った指南書。
「私が講師を務める投資セミナーにも、最近は女性の参加者が増えています。より多くの女性に投資の面白さが伝わればうれしいです」
たけぞう●個人投資家。1988年に証券会社に入社し、30年間勤務。4年間の“場立ち”を経て、20年間以上、証券ディーラーとして活躍。多い時には約10億円の資金運用を託され、約50億円の収益をあげる。