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放送中の『虎に翼』が好評だ。伊藤沙莉が日本で女性初の弁護士と裁判官を演じ、ドラマチックな物語はいよいよ大団円へと向かっている。60年以上にわたり、お茶の間の朝をワクワクさせてきたNHK連続テレビ小説。国民的ドラマといわれる同番組で、かつて主人公として出演していた人たちに当時とその後の“人生ドラマ”を振り返ってもらった―。
歌を披露してオーディション突破
「私が選ばれたのは“変わっていて面白かった”ことが要因のひとつだったようです」
当時のオーディションをそう振り返るのは、'87年に放送された『チョッちゃん』でヒロインの北山蝶子役を演じた古村比呂(こむら・ひろ)。ドラマの原作は、黒柳徹子の母でエッセイストだった黒柳朝(ちょう)さんの自伝『チョッちゃんが行くわよ』。昭和初期から戦後までが描かれ、ヒロインが直面するさまざまな苦難を持ち前の明るさで乗り越えていく物語。古村は『チョッちゃん』のオーディションで、自身が作詞をした歌を披露したという。
「歌があまり得意ではなかったので、友達が作った曲に自作の歌詞をつけて歌いました。その曲なら、審査員は知らないはずなので、うまいもへたもわからなかったんじゃないかと(笑)。それも面白かったと評価されたようです」
合格発表後、スケジュールはすぐに埋まっていった。
「合格を伝えられたときは本当にうれしくて、夢を見ているような感覚でした。ただ喜んでいる暇はなく、すぐに記者会見があるなど、あれよあれよとスケジュールが埋まって、気づけば熱を出してしまいました(笑)。気持ちに身体が追いつかなかったんでしょうね」