心無い言葉に負けず発信を続けたい

 そんなこのはさんの両親が、2年半前にYouTubeを始めたきっかけとは。

「娘が生まれたころはコルネリア・デランゲ症候群についての情報が少なくて。そんな中、同じ障がいのある女の子の成長を記録したホームページを見つけて、うちだけじゃない!って本当にうれしかったんです。私たちもホームページを開設したんですが、息子が生まれてから忙しくてやめてしまって。今ならYouTubeで発信できると」(お母さん)

 一方でお父さんは、「このはが好きな、歌ったり、踊ったりする様子を発表する場をつくりたかった」と話す。

 お父さんが撮影し、お母さんが編集する体制で、お出かけ風景や日々の生活の動画をアップ。このはさんのかわいらしい笑顔が人を引き付け、すぐに人気チャンネルに。ポジティブな反響が動画制作のエネルギーになるという。

「応援のコメントや、“障がいのことを知れた”“勉強になる”という言葉をたくさんいただいて、本当に感謝しています。“お出かけ動画を見て、不登校だったうちの子が、このはさんも頑張っているからと、勇気を出して学校に行きました”というコメントには、鳥肌が立ちました」(お母さん、以下同)

 しかし、時には心無い言葉が届くこともある。

「“毛深い”など病気に起因する見た目に関する悪口や、“障がい者を支援するのは、税金のムダ遣い”と言われることもありました」

 実際に社会の理解が足りないと感じることも多い。

「障がい児の育児は父親も会社を休まなくてはならない状況ばかりですが、理解が得られずに退職する人が多く、僕もその1人です。障がい児をケアすることの大変さがもっと伝われば」(お父さん)

 日々、笑顔を絶やさないお母さんもつらい瞬間はあるという。

「そんなとき、自分1人じゃないとわかると心強い。同じように障がいで悩むご家族のために、これからも動画配信を続けていきたいです」


取材・文/小新井知子