昭和を代表する不倫曲1位を制したのは……
3位は、ヒロシ&キーボーの『3年目の浮気』('82年)。浮気をした男とそれを責める女のやりとりを軽快な歌詞とサウンドにのせ、老若男女問わずに大流行。
累計100万枚を超える大ヒットを記録し、現在でもデュエットソングの定番としてカラオケなどで歌い継がれている。ただ残念ながら、ヒロシこと黒沢博さんは今年の9月に享年75で亡くなっている。
「浮気なのに何とも軽妙で軽い感じが良い。昭和は良かったと思わせる歌」(東京都・57歳・男性)、「“大目に見てよ”とか軽い感じでかわいい」(福岡県・52歳・女性)と、不倫曲でありながらも、暗くならない明るい曲調で大きな支持を集めた。
2位はテレサ・テンさんの『愛人』('85年)。
「不倫女性の心のうちを歌う切ない歌詞とメロディーが、心に沁みるから」(山形県・60歳・男性)、「テレサ・テンさんの歌声が好きで、歌詞も儚(はかな)さも忘れられない曲」(千葉県・69歳・女性)、「許されないものだが、背徳感があってワクワク感もあって惹かれる気持ちもわかる」(石川県・64歳・男性)と、歌声、歌詞、メロディーどれも好きという声があふれた。
ただ、描かれているのは《わたしは待つ身の女でいいの》《尽くして 泣きぬれて そして愛されて》と、男にとって都合のいい女性。令和のこの時代には違和感を覚えそうだが、昭和ムードの“日陰の女”の世界観に酔いしれるにはピッタリ。
1位は小林明子(66)の『恋におちて―FALL IN LOVE―』('85)。ドラマ『金曜日の妻たちへ3』の主題歌として大ヒットした、不倫ソングの金字塔。
「『金妻』の主題歌で、不倫中の女性の心情をうまく表現している歌詞が素晴らしいと思ったから」(東京都・52歳・男性)と、一世を風靡(ふうび)したドラマと相まって強く印象に残っている人が多かった。
そして、「歌詞も曲調もピアノの響きもとても切なさを感じる」(神奈川県・51歳・女性)と、楽曲の良さをあげる人も多数。歌詞の《ダイヤル回して 手を止めた》という経験は、昭和世代なら不倫は関係なくとも1度は経験しているのでは。電話が家庭に1台だった時代の空気感まで甦(よみがえ)る懐かしの名曲だ。
いずれにしても、不倫は褒められた行為ではない。アンケートでも「歌は好きだけど不倫自体は嫌い」というコメントも一定数あり、曲を聴いて詞の世界観に浸るくらいがちょうどいいようだ。
取材・文/天野 仲 写真/週刊女性写真班