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ー 勘を頼るのは「職業病」
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ー ピーク時の年商は約9億円

 深夜枠ながら、いまやテレビ東京系列の看板ドラマとなったのが『孤独のグルメ』だ。松重豊(61)演じる個人貿易商の井之頭五郎が、直感を頼りに立ち寄った店で、これまた直感で選んだ料理に舌つづみを打つ。随所に人間模様もまぶされているものの、メインは五郎の食事シーン。あまりの人気ぶりに現在は特別編『それぞれの孤独のグルメ』が放送中で、来年1月には松重が監督で『劇映画 孤独のグルメ』も上映される運びとなった。映画では、これまであまり触れられなかった五郎の過去についても明らかになるといわれ、注目されている。

勘を頼るのは「職業病」

 そんな五郎が営む個人貿易商とは、いったいどんな職業なのか。この仕事を20代から30年近く続け、現在は「戦略的輸入ビジネスアドバイザー」の肩書で活動する大須賀祐さんに聞いた。

ドラマは現代が舞台ですが、五郎さんは今でも基本は対面で交渉し、入る店もスマホで検索するのではなく自分の勘で探しています。評判よりも自分の勘を頼りにするという、いわば個人貿易商の職業病でもあるのですが、私の現役時代もまさにそんな感じでした」(大須賀さん、以下同)

 ドラマでの五郎は、依頼者に頼まれた商品を探し、届けるシーンが多い。

「確かに『日本では売っていないから、こういう商品を調達してきてほしい』という依頼もあります。私も結婚式場から『花嫁の控室をヨーロッパ調にしたい』という依頼を受け、壁紙から調度品まで調達したこともありました。ですが、現地に行って『これは日本で売れそうだ』という商品を見つけ、日本における販売権を交渉して、日本総代理店として独占的に販売する、というのも個人貿易商のメインの仕事です。おそらく五郎さんも、そちらの仕事にも関わってきたと思いますね」