膀胱がん、肺がん、腎うがんを患い闘病していたキャスターの小倉智昭さんが9日午後、自宅にて最愛の家族に看取られ77歳で亡くなった。最期は“前向な別居生活”を送っていた奥さんのもとで過ごしていたという。
最初に見つかったのは膀胱がんだった。『情報プレゼンター とくダネ!』の司会をしていたときのこと。今年の春『週刊女性』のインタビューで、当時のことを赤裸々に語ってくれた。
男性機能を失いたくないという未練
「見つかった時点で全摘しなさいって言われたんです。だけど男性機能を失いたくないという未練があって、2年間遠回りした。いろいろ調べて、お金も使い、結果的には周辺の前立腺や精嚢も含めて全摘しました。勃起神経は切ったけれども、射精神経は残っているから、ピクッ、ピクッていう男ならわかる快感は覚えるんです。
ただ、精子はつくれないから、ピュッと出たのがおしっこだったりするわけですよ(笑)。そういうことは医師も知らないから、泌尿器の学会に呼ばれて講演したこともあった」
“下”の話はイメージが悪くなると忠告するスタッフもいたが、小倉さんは「膀胱がん患者の情報が少ない」と感じていたため、自分がしゃべることには意味があると発信を続けた。
「例えば排尿の大変さだとか、みんな話したがらないんです。だけど、男だって高齢になれば尿漏れパッドを使う人は結構いるんです。それなのに、なんで男性用トイレにはサニタリーボックスが置いてないのかと声高に言っていたら、高速道路のサービスエリアとか、サニタリーボックスがある男性用トイレは少しずつ増えてきましたよ」
その後、がんは肺と腎臓を蝕んでいくも小倉さんは前向きに“死”と向きあったという。
「余生は好きなコレクションに囲まれて暮らせばいいでしょ」と言う奥さんの言葉を機に、事務所にあった大量の絵画、楽器、DVDのコレクションを自宅に移し、家のリフォームから荷物の引き揚げまで、全部奥さんがやってくれ「もう、女房に頭が上がらなくなっちゃった」と微笑む小倉さん。
別居生活をすることになるも、朝晩欠かさないLINEでの「おはよう」と「おやすみ」のあいさつ、何年かぶりに外食後に「手をつないで歩いた」奥さんへの感謝。
小倉さんは、最後まで“伝える”を貫いた。ご冥福をお祈りいたします。