「ここ何年かの『紅白』は、歌手の人選が絶妙に外れているというか……。中途半端なんですよね。高齢者をターゲットにするなら、そういう人たちが喜ぶキャスティングにすればいいし。若い層を呼び込みたいのなら、そっちに振り切ればいいのに、どちらも取ろうとするから、両方の層からソッポを向かれてしまう。各層をターゲットにした人選をして、別番組に分けるくらいしないともう無理な時代だと思います。

 音楽番組が少なくなった今、フジテレビ系の『FNS歌謡祭』とか日本テレビ系の『THE MUSIC DAY』といった大きな歌謡祭として、『紅白』のような番組を各局が作っています。年に一度、スターが集まることで視聴者が喜んでいた『紅白』の価値が、なくなってきているのでしょう」

見る、見ないはアンチも人選次第!?

 出場する歌手側にしても、昔は“『紅白』出場歌手”という肩書を欲しがっていたが、今やNHKからのオファーを断る歌手も多い。世間から“オワコン”と呼ばれてしまうのも仕方のないことなのかもしれない。

「昔は夜9時から12時前までの放送でしたが、今は前振り番組とかを合わせると、1日中放送している感があります。お笑い芸人さんに頼りながら、副音声で座談会をやったり。もうそういうのをやめて、純粋な音楽番組に戻すのがいちばんいいのかなと、私は思います」

 止まらない若い世代のテレビ離れ。カトリーヌさんは、視聴者として確実に見てくれる層に向けての企画にしてしまうことを提案した上で、

「今は音楽の聴き方も多様化していて、今年いちばん聴かれた曲といっても、誰もが知っているわけではなくなりました。そういう時代の流れも『紅白』の寿命を縮めているのかもしれませんね」

 老い先短い(!?)定めといわれても、やはり歴史のある歌番組。視聴者が見たいと思う歌手をキャスティングできれば、人気は復活するはず。年末になると噴き出てくる“『紅白』不要論”が、「この歌手に出てほしい」の“希望論”に変わるよう、NHKの踏ん張りどころなのかもしれない。


取材・文/蒔田 稔