家でひとり泣く日々
うれしいことも、逆境も人の倍ある。それが私の人生なのかも、と語る希良梨さん。
「昨年からメキシコで家族で暮らしているのですが、今年の春に日本に一時帰国した際に、身体の異変に気づいて。大きなナプキンでも漏れてしまうほどの不正出血が続き、これはおかしいと。
子宮がんに一度なっていますし、妊娠中に高度異形成が見つかったこともあり、クリニックに駆け込んで検査をしてもらいました。でも出血以外は特に気になる症状もないし、きっと大丈夫と思っていたのですが、病院から電話がきて。嫌な予感が的中しました」
紹介された大学病院で再検査を受け、正式に子宮頸がんの診断が下った。
「がんの進行を調べるために検査を重ねて。日に日に状況が変わっていき、もしかしたら余命宣告をされるんじゃないかと不安で仕方なかったです。私は小さいときから、芸能界でも、そのあとの海外の暮らしでもいろいろな経験をしてきたので、母からは“人生4周目なんじゃない?”と言われるほどだったので、もうそろそろ終わりなのかな、なんて思っちゃって。家でひとり泣く日々で……」
9月には円錐切除手術をして、取れる範囲のがんを切除、そして12月にはさらに奥にひそむがんを取るための開腹手術を行った。
「ある日、ほかの患者さんがいない特別な診察室に呼ばれて。やっぱり深刻な状況なんだと思い知らされました。しかし医師からは、おそらく初期のがんだから99%は大丈夫と。
ただ、奥にあるがんは開腹してみないことには状態がわからないと言われて。子宮の近くにはリンパ節もあるので、もし転移すれば血中のリンパ球によってがんが全身に広がっていく可能性もあると。もう恐ろしくて言葉にできないほど不安でした。正直言って、元気いっぱいの私がなぜこんなことにと思いましたが、自分に怒っても仕方ないですし、人に当たっても仕方ない」
それほど思い詰めるのは、子宮摘出の可能性もあったからだ。
「もし機会があれば、また子どもを産みたいと思っているんです。だから放射線治療の選択肢もありましたが、不妊の影響を考えて開腹手術にしました。先生にもそれはお伝えしてあるのですが、お腹の状態によっては、手術で眠っている間に子宮を摘出される可能性もあって。
手術が終わった後のことなんて想像もできなかった。パンドラの箱を開けるようなものだったから……。みんなの前では冗談を言って、ひとりになると泣いてストレス発散する。手術台に乗って麻酔をかけられるまでは、この状況を受け入れられませんでした」