斉藤からの電話に1度も出ないおたけ
おたけ「こうなってしまったことについて『なんでだよ』とは思ったけど、別に恨みとか怒りはないです」
太田「でも、そういえばおたけは関係者で唯一、斉藤と連絡を取っていないです。斉藤からの連絡もスルーで(笑)」
おたけ「普通に電話しても仕方ないなと。想像できること以上にしゃべることはないというか、謝られたところで『で、なんなの?』ってなるだけでしょう」
太田「彼は別に冷たいとかいうわけじゃなく、本当にこういう人間で(笑)。サイコパスというか、超合理主義者というか……。確かにどういう会話になるかって、ある程度分かるじゃないですか。謝られて、沈黙して……。おたけはそれに意味を見出さないから電話も取らない」
おたけ「別にふざけるつもりはないけど、どっかで笑っちゃう気もして。『お、落ち込んでる芝居でくるのか?』みたいな。じゃあそもそも話さなきゃいいってだけで」
太田「斉藤も『こうありたい』という“斉藤慎二像”を作るタイプなんでね。でも、一方で僕とおたけは似てる部分があって、理解はできる部分もあります。ただ自分は情に傾いているけど、おたけは理屈に傾いていると言いますか」
おたけ「でも、僕は仲間のことは全力で守りますよ」
太田「ハハハハ!! 18年やってきたけど、斉藤はギリギリ仲間のカテゴリに入らなかった?(笑)。でも実際に僕らのこういう関係性が仕事としてうまくいってる部分もありました。喧嘩芸じゃないですが、『全員が全員をバカにしているトリオ』ということで、それでテレビからオファーがくることもありましたからね。
改めてですが、僕らは本当に心からバカにし合っていて、それを口にできる。それは信頼関係があるからです。普通、芸人のネタ作り担当を悪く言うことってあまりないけど、僕はずっと全力でバカにされてますから(笑)。だからこんな事態になっても、ジャンポケは『お前なんてことしてくれたんだよ!』みたいな展開にはならないんです。本当にいい意味で喧嘩ができるビジネスパートナー。だからこそネタだけは、3人で協力して全力で作れたんです。
逆境に見える方もいるでしょうが、むしろおたけはギアが上がってます。斉藤ってアドリブは好きじゃなかったけれど、おたけは逆に毎回変えたいし、その場で思いついたこともガンガンやりたいタイプなんです。僕はどちらも好きだったんで、今までできなかったことがガンガンやっていけるなと。これからジャンポケはまったく別物になると思う。僕としてもワクワクしながら、どんどん新ネタを作り続けています!!」
取材・文/阿部ベア 撮影/吉岡竜紀