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ー 「ワクワクするバカが現れた」

 12月22日に放送された若手漫才師No.1決定戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で、決勝初進出ながら準優勝に輝いたバッテリィズに注目が集まっている。

「ワクワクするバカが現れた」

「昨年のファイナリストであるカベポスターらと同期の結成6年目のコンビです。ネタ作成者の寺家が偉人の名言を紹介するも、おバカキャラのエースがまったく理解できない……という漫才を披露。

 オードリーの若林さんが“ワクワクするバカが現れた”と絶賛するなど、ファーストステージでは優勝した令和ロマンを超える高得点を叩き出しました」(お笑いライター)

  おバカ漫才ながらバッテリィズのネタが、人々の心を打っている。

《行き詰まっている鬱病の哲学科大学生なんだけど、たまたまM-1やっていたからつけてみたら、バッテリィズの「(ソクラテスを)連れてこい、俺が笑わせたる!」と、「生きるのに意味なんていらんねん」をモロに食らって泣いてしまった》

《「生きるのに意味なんて要らんねん」「生きていて楽しかったらええ」この言葉刺さりました 生きるのに意味なんて要らんかったんや》

 SNS上では、エースのピュアすぎる言葉の数々が胸に刺さったという声が多く上がる結果に。

 エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、2人の漫才の魅力をこう分析する。

「“おかしいな”と思う世の中のルールなどがあっても、深く考えるとイライラするから“常識だから”と自分を納得させている人もいます。しかしエースはおバカゆえに、物事の本質を真正面から突いてくる。面白さに加えて、ハッと気付かされることも多い“気づきのある漫才”ですよね。一方で、ガリレオ・ガリレイに対して“痩せてそうすぎ”というスーパーおバカなツッコミを入れるから、幅広い層が楽しめる」

エバース(『M-1グランプリ』公式Xより)
エバース(『M-1グランプリ』公式Xより)

 また4位のエバースは一見怖そうなツッコミ担当・町田和樹が、佐々木隆史の変な悩みに対して、イライラしつつも真摯に悩みに乗ってあげるところから笑いを展開していたが、「“人を傷つけない”先にある笑いが多かった」と大塚さんは感心する。

「今は見る側のレベルも上がっているから、変な人をただ強く否定するだけの漫才ではシンプルな構造すぎてウケけなくなってきています。令和ロマンも真空ジェシカもボケの変な世界を否定せずに、ツッコミ側が乗っかることで展開されていくという構造でした。

 ぺこぱの“人を傷つけない笑い”が一時話題になりましたが、今回の『M-1グランプリ』は“その先にある多様性を認める笑い”が多かったのも、笑いながらも勇気をもらえた人が多かった理由かもしれませんね」

 平均世帯視聴率は昨年から0.8%アップの18.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と高視聴率で幕を閉じた今年の『M-1グランプリ』。令和ロマンが史上初の大会連覇を遂げるという話題性の高さに加え、若手漫才師たちの多様性を認めるネタが国民のハートを掴んだようだ。