1月5日に始まったNHK大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華乃夢噺』。初回の平均世帯視聴率は関東地区で12・6%、関西地区で12・0%を記録し、関東地区では昨年放送の『光る君へ』の初回12・7%を下回り、過去最低となった。
初回から全裸にされた女性の死体が描かれるなど、かなり攻めた内容で波紋を呼んでいる『べらぼう』。しかし、何かと異例尽くしだった『光る君へ』のラストシーンもまた、これまでの大河では見られないものだった――。
“合戦なし”への不安も見事に覆して
平均視聴率では歴代大河ワースト2となった『光る君へ』だが、NHKプラスの配信結果では、平均視聴UB(ユニーク・ブラウザ)数が37.9万UBで、歴代大河ドラマ最高の記録に。テレビ番組の視聴方法がこれまでとは大きく変わり、番組の人気はオンタイムの視聴率では測れない時代になってきたことが分かる。
大河第63作となった同作では、平安時代に書かれた、ベストセラー小説『源氏物語』の作家・紫式部(籐式部/まひろ)の生涯が描枯れた。大河の中では1976年放送の『風と雲と虹と』に次いで2番目に古い平安時代の貴族社会を描き、合戦シーンがほぼない物語だった。合戦シーンがまったくない大河もあるが、ファンの多くは“合戦”や“動乱”を好む傾向にあり、そういったシーンがない作品は視聴率が振るわないことが多い。
特に、ただでさえ登場人物が多い大河で、登場人物がほとんど「藤原」や「源」「平」となり、人間関係が分かりにくくなる平安時代は敬遠されがちだ。そのため放送開始前は、大河ファンに受け入れてもらえるか不安視されていた。放送開始当初、その不安は的中したように見えたが、状況は少しづつ好転。回を追うごとに、引き込まれる視聴者が増えていった。
「古代の女流作家の半生を描いたドラマと聞いて、視聴意欲が湧いてこないオールド大河ファンもいたようですが、放送が始まると、彼らが想像していた内容とはだいぶ違っていたのでしょう。宮中に渦巻く陰謀や権力争いが描かれることで、ミステリーやサスペンスの要素が加わり、また“呪詛”などのおどろおどろしいシーンもあって、非常に見ごたえのある作品になりました。さらに、これまでの大河では見られなかったラブシーンも多く、主人公・紫式部と藤原道長による身分の差を超えた恋愛模様が反響を呼び、女性ファンを増やしました」(テレビ誌ライター)