「女性は我慢強いので、異変があっても軽く考えがち。そんなとき、心配してくれる家族や友人がいると安心です。一人で抱えるのではなく、『今体調がこんな感じで』と、友人や家族に打ち明けてみてください。誰かに話すことで、病院を受診するきっかけになるかもしれません」
『もう年だから』は禁句
がんを公表してから、ブログやSNSでも反響が大きく、同じ病気を経験した女性とのつながりもできた。
「驚いたのは、子宮体がんを経験された方が非常に多いこと。いただいたコメントには私自身も励まされました。昨年はがんを経験して、人生の転機となった一年でした。今までは歌手として発信する場がほとんどでしたが、これからは女性の皆さまの応援団として、がん検診の重要性を広め、さまざまな活動をしていきたいです」
年齢を重ねても、いつまでもエネルギッシュに活動するための秘訣を聞くと、「50代以降は運動」と藤さん。
「女性はホルモンが低下すると骨にくるので、身体を支える筋肉が必要。運動は毎日やっても苦にならない程度のものがおすすめです。私は、洗面所の壁を使って体勢を斜めにして20~30回程度の腕立てをする『斜め腕立て伏せ』を毎日の習慣にしています」
年をとると、身体を動かすことが億劫になる。しかし、藤さんもヨガやキックボクシングを始めたのは50歳以降。
「いつまでも若々しく過ごしたいなら『もう年だから』は禁句。私は還暦になったとき、まだ何でもできる身体だし、いろんなことに挑戦できると思ってワクワクしました。自分を甘やかしながらでいいので、今日からできそうな運動を始めてみてください」
歌手生活は今年で38年を迎える藤さん。
「長年、こうして歌を歌えることに感謝しています。歌い手の先輩の中には、キャリア60年以上の方もいます。私なんてまだまだ。先輩方のように何十周年も続けられる歌手を目指したいです。そのために必要なのは健康。自分を大切に、心と身体のメンテナンスを続けていきたいです」
藤あや子(ふじ・あやこ)
秋田県出身。1987年に歌手デビュー。歌手のみならず、バラエティー番組への出演、保護猫活動など、多方面で活躍。東北出身の吉幾三さんとコラボしたシングル『雪の花』、それらを収録した『藤あや子ザ・ベスト』が発売中。
取材・文/釼持陽子 写真/本人提供