患者のコミュニケーションを重視する背景

 中村さんは生まれつき心臓に病気があり、幼少期は入院や手術を繰り返したそう。この経験こそが、患者のコミュニケーションを重視する背景だという。

「手術や入院をすると、我慢しなければならないことはたくさんありますし、孤独感もあります。そんな時、誰かからプレゼントをもらったは、内容以上に嬉しいんです。病気を治すのは医者の仕事です。でもメンタル面は家族や友人の存在が大きいように思います。

 何かをプレゼントすることは、メンタル的に患者を救うことになるので、大事なことです。もちろん普通のチョコレートでもいいんですけど、『妊婦さん向け』や『表皮水疱症患者向け』といった文言を見て、“贈り物をしよう”と思えるようなストーリーを作れたらいいなと思っています」

 そんな中村さんは、来たるバレンタインに向け、ある取り組みを行うようだ。

「バレンタイン期間は売り上げの5%を表皮水疱症患者会へ寄付する予定です。“自分の大切な人のために買ったものが、知らない誰かのためになる”というのを、バレンタインのようなポジティブなイベントに違和感なく絡めたいなと思い、企画しました。支援しようとしてするのではなく、“たまたま誰かのためになっていた”くらいの方が、肩肘張らない気がしていいのかなと思います」

 表皮水疱症患者や妊婦向けのチョコレートは、患者以外もおいしく食べられるという。この機会に、手に取ってみては――。