貧乏人を切り捨てるってこと?

「長瀬効果というのは簡単にいうと、上限額を見直して医療費が実質的に値上がりすると、貧しい人の中には治療を途中でやめたり最初から断念せざるを得ない人が出てくるので、その分、医療費が削減できるというものです。国はこの効果で総額2270億円削減できると試算しています」

 たしかに、月5万円の出費増に耐えられない人もいるだろう。この国の試算にネット上ではこんな声があがった。

《セーフティネットを引き上げて貧乏人を切る捨てるってこと?》

《病気の治療をあきらめる人が出るから医療費削減できるって、悪魔だな》

 また、ネット上のなかには患者からの悲痛な声も。

《私は乳がんになり、現在も高額医療制度を使っています。負担額が増えるなら、家族に申し訳ないので高い治療はやめようと思います》

《40代乳がん患者です。去年突然乳がん発覚して治療してます。高額限度額は月16万。家のローンと同額あります。子供4人います。下は3歳です。いつも高額限度額に助けられてます。(中略)でも、こんなに治療費かかるなら、早く死んで子供たちのために残した方がいいんじゃないか……毎日葛藤してます。離婚して生活保護受けたら高額な医療ほぼ無料で受けれるんなら、離婚して生活保護の人がますます増えそうですね》

がんになると出ていくお金も多いが、もらえるお金もある(写真はイメージです)
がんになると出ていくお金も多いが、もらえるお金もある(写真はイメージです)
【図解】高額療養費制度を使っても“がんにかかるお金”は高額になりがち!

 国は2270億円というのはあくまで“機械的な試算”だとしているが、がん専門医の勝俣範之氏はネットニュースのコメント欄で、「受診抑制をすることで、医療費の抑制を試算していたということでしたら、非常に大きな問題と思います。高額療養費を使用している患者は、がん難病のかたであり、受診抑制をすることで、命に関わってしまいます」と問題視している。

 ここにきてさらに、一般市民の医療費の上限額は上がるが国家公務員の上限額は変わらないのでは、との報道も。命は平等ではなかったのか――。

 12日、厚労省は患者団体の面会後に、長期の治療が必要な患者に配慮する方向で見直すとも報じられた。凍結にするのか、“見直しの見直し”で進むのか、行方を見守りたい。