すっとぼけたような態度に怒声
報告書が県議会で正式に了承された後、3月5日の定例会見で、斎藤知事は報告書について、「一つの見解が示されたということは、しっかり受け止める必要がある」と百条委員会の調査結果をあくまでも“見解”と捉え、告発者探しやA氏の懲戒処分などの県の対応は正しかったと、従来の主張を曲げることはなかった。
その根拠については、「告発書は誹謗中傷性が高かった」からだとし、処分理由についてA氏が公用パソコンを使って「倫理上きわめて不適切な、わいせつな文書を作成されていた」と述べた。そしてこの発言が物議をかもしている。5月に県の人事当局が懲戒処分を公表した際の説明では、単に『職務專念義務違反(勤務時間中に私的文書を多数作成)』とされていたはずだが……。
「これまでは、A氏が“公用パソコンを使って業務とは関係ない文書を作っていたから”というのが処分理由の1つでしたが、会見で急にその文書の内容について言及し、しかもそれも処分理由だと言い出したのには驚きました」(地元紙記者)
斎藤知事が私的文書について言及し出したことに、記者からは「公益通報者と認定されたA氏に不利益を与える、傷つける発言をなぜするのか」というその意図について質問が集中した。しかし、知事はその理由については答えず、「倫理上不適切なわいせつな文書だったから」と繰り返すのみ。
会見の後半で質問に立ったフリージャーナリストが「晒す必要などないじゃないですか! あなたは人が死んだことをなんだと思ってるんですか!」 と詰め寄ると、5秒ほどの間が空いた後、知事は「あっ、質問ですか」と一言。このすっとぼけたような態度に対し、ジャーナリストの男性からは、「あなたの人間性を問うてるんです! あなたの日本語能力に合わせましょか? 死者を冒涜するな! 職員をバカにするな!」と、怒りの声が上がった。
橋下徹氏も、自身のXでこうポストしている。
《告発を握りつぶすのに、その告発者の悪性を立証しようとすることは絶対にやってはいけない。 今回の兵庫県政の混乱は、斎藤さんやその周囲の幹部たち、しかも告発を受けた面々が、告発者の悪性を立証しようとしたことが原因。 斎藤さんはさらに告発者の悪性を立証しようとしている。最悪。 告発者に悪性があったとしても内部告発して取り扱わなければならないのが内部告発の原理原則》