遺品はお守り、ムリして捨てない

 川村さんは死後を見据えた終活や断捨離はしないと決めている。

「今や、人生100年時代です。60代や70代で大切なものを捨てるのは早すぎます。私は終活なんて考えたことないし、片づけはしても断捨離はしません。特に遺品は思い出があるので残しています。夫のTシャツはパジャマにしています。着ていると一緒にいるようで、お守りみたいなものですね」

 最後に、川村さんから読者へ来たるべき悲しみを迎えたときに、心に留めておきたいエールを聞いてみると……。

「最愛の人との別れはとても悲しくて苦しい出来事ですが、これだけは言えると思うのです。この広い世界で愛する人に出会い、精いっぱい愛して愛された幸せは何ものにも代えがたい宝物です。この世ではもう会えないけれど、心の中に思っていればいつでも問いかけることができます。

 つまり、いつも一緒にいることができるのです。自分がつらいときや悲しいときはきっと『がんばれ!』と言ってくれているでしょう。だから元気を出して、楽しいことを見つけて、前を向いて生きていきましょう。自分の幸せが、故人に対する何よりの供養だと思います」

ひとり老後を前向きに生きるための3か条

1. 悲しむよりも感謝。孤立せず、孤独を楽しむ。
2. 泣いている暇をつくらない。なんでもいいので忙しくする。
3. 健康な身体、安定した収入を今のうちから意識する。

<取材・文/佐藤晶子>