テクノなんて邪道!初めはそう思っていた
「ニューヨークでSAMさん、東京のスタジオでETSUと出会い、私は帰国したSAMさんのダンスグループに加入して、テレビのダンス番組でダンスチーム『MEGA━MIX』ができました。このダンスチームで出た番組を小室さんが見て、声をかけてもらったんです」
初めは小室哲哉の音楽ユニットtrf(TK Rave Factory)内のダンサーグループだったものの、メンバーの入れ替えを経て現在の5人が集結。ついに1992年、ダンス&ボーカルグループtrf(当時)が結成される。
「マニアックな洋楽で踊ってきたので、小室さんに“オリジナル音源で踊ってみない?”と誘われたときは“どんな曲になるんだろう”って素直に興味が湧きました。ところができあがった曲を聞いたら思いっきりテクノ! 当時はテクノなんてミーハーで邪道という認識で、正直なところ“ありえない”と思っていたんです」
ポップスを聴くような若年層も取り込むパフォーマンスへのシフトは大転換だったに違いない。
「当時はどのくらいの人がtrfを知っているのか全然ピンときてなくて、ある日タクシーのラジオから曲が流れてきてびっくり。オリコン1位獲得の知らせやファンレターが届いて“もしかして、これはすごいことになっている?”と。ライブでたくさんのお客さんを目の当たりにして初めて、“こんなにいるんだ!”と感激したことを覚えています。
あのころは3か月連続のシングルリリース、ミリオンセラーと勢いが増して、とにかく多忙。もともとスターになりたいという野望がなかったので、『NHK紅白歌合戦』出場やレコード大賞受賞も、当時より今、事の大きさを実感しています」
ソロのダンサーからグループに転じて得た、新たな気づきや感動は数えきれないという。ライブを盛り上げる演出、観客との熱を帯びた一体感、ヒット曲に恵まれたこと。そして唯一無二のメンバーを家族のように信頼している。
「SAMさんは昔から、私のダンスや振り付けに対して、唯一鋭い意見を言ってくれる存在です。KOOちゃんはわが道を行く独特の感性の持ち主で、YU━KIちゃんは圧倒的なライブパフォーマンスが強み。付き合いが長いETSUはお姉さんであり親友! 病気で寝込んだときに食事を届けてくれたり、仕事やプライベートの相談もできる関係です」