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 そこで地震調査委員会の資料をもとに、昨年1月1日時点での、震度5強以上の揺れが起こる確率分布地図を作成。そこに直近1年間で発生した震度5弱以上の地震ポイントを重ねたのが左にある地図だ。

 これを見ると、必ずしも発生確率の高い、色の濃い地域で地震が起きているわけではないことがおわかりだろう。地震は、時と場所を選ばずに襲ってくる。

 今年1月、発生20年を迎えた阪神・淡路大震災は、まだ寝ている人も多い早朝の時間帯だった。

 3・11は午後2時46分ごろ。時間帯によって被害想定は変わるが、新幹線の脱線、高速道路の損壊、木造家屋の倒壊や火災、竜巻のような火柱が襲う火災旋風、海抜が低い地域の水没危機、地下鉄や地下街への大量の浸水など、あらゆる危険性が、わたしたちの命に束になって襲いかかる。

 道路1本で分かれる生死。紙一重の運命が、地震によってもたらされるのだ。

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「地震の強さは震源からの距離と震源の深さで違ってきますが、大切なのは住宅が立つ地盤と周辺環境。軟らかい堆積物の上は、かなり揺れます」(遠田教授)

 と指摘。阪神・淡路大震災の際、地盤の悪い神戸では被害が拡大したが、3・11の三陸地方は硬い岩盤の上にあったため、家屋の倒壊はほぼなく、壊滅的打撃は津波によってもたらされたことを、その証拠にあげる。

「地盤の揺れやすさによって、震度は1、2くらい簡単に変わります。平野、盆地、河川だった土地などは軟らかいので、せめて建物の補強は必須でしょう。新しく家を建てるなら、丘陵地や山のほうが地盤が硬くおすすめです。自分の家がどんな地盤の上にあるのか調べて、対策を打っておきましょう」(遠田教授)

 揺れ以上に、財産や生命を一挙にのみ尽くす津波の脅威は、3・11のニュース映像でさんざん脳裏に刻まれた。

 今月17日午前の地震で、気象庁は津波注意報を発令した。

「津波の避難に関する発表は、多少大げさに出されるかもしれませんが、信じて避難すべき」

 と遠田教授。島村特任教授はこう注文を出す。

「気象庁は考えられうる最大の津波情報を出しますが、津波の沖での大きさと、実際に陸に届いたときにどれくらいの大きさになっているのか知る方法を開発しなければなりません。警報を信頼できるものにしないと、いざというときの危機感が鈍ってしまいます」

 地震が起き、津波がこようとも、私たちの対策のかなめは、何があっても生き延びることに尽きる。

「家や家財を捨てても、命だけは守る覚悟を持ってください」

 と呼びかける島村特任教授は、もしものときの備えを、次のようにレクチャーする。

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3.11で被害を受けた仙台市。「一瞬にして多くの命を奪った津波の恐怖を忘れないように」と遠田教授

「家族や職場の人と、災害が起きたらどのように連絡をとるか、どう動くかなど、普段から話しておくことが大事です。パッと持って逃げるものを、まとめておきましょう。市販の非常用持ち出し袋ではなく、自分専用の処方箋や生活必需品などを、職場でも家庭でも準備しておくべきです」

 家や家財はなくても生きられるが、水と食料がなければ、命はつなげない。緊急避難の時間が、一体どれだけ続くかわからないが、

「首都圏などは3日ほどで救助や支援物資の支給が始まると思いますが、地方は3日では救援が来ないと考えたほうがいいです。1週間分くらい準備しておくのが安全です」

と島村特任教授。

 短期的には、電気や水道、ガスのない生活が待ち受ける。トイレの水も流せない。電話も使えない。家が復旧するまでには、どれだけの時間がかかるのか、わからない。

「阪神・淡路大震災から20年たっても、住居に苦労している人もいます。被害は甚大かつ長引くことを、心しておいてください。ちょっとした地震に慣れてしまうことが一番怖いです」(島村特任教授)

 平和な暮らしを一瞬にして壊滅させる大地震。最悪のケースに備え最善を尽くしておくことが地震後の生活を素早く立て直すための第一歩。備えあれば憂いなし、だ。