■自分を見つめることが苦しくてしかたなかった
「もちろんダメもとで応募しました。東日本地区大会に出られたらいいなあと」
応募したところ、書類選考に通り、願いが叶って東日本地区大会に出場。さらに勝ち上がって、ミス日本の最終候補14人に残ったのだ。
「本当にびっくりしました。自分でも信じられないくらい。でも、候補者が受ける勉強会の中に、メンタルトレーニングというのがあって、それは自分を見つめ考えるというもの。自分には何もない、こんなカラッポの自分から何が見つけられるのかと、急に不安になってきました」
ところで、ミス日本ではなぜ、そのような勉強会を行うのだろうか。
ミス日本コンテストは、日本を代表する美しい女性に栄誉と実益が与えられる美のコンテストだ。さまざまな分野で活躍するリーダーを生み出したいと、1950年より開催された。容姿が美しいのはもちろんだが、それだけではない。
「将来の目標を持ち、そこに向かって何を学び、ミス日本をどう役立てていけるか。本人にそのストーリーが描けているかが問われるのです」
と語るのは、ミスの勉強会で自己プレゼンテーション講義を行うアンドリュー・ジョーンズさんだ。
大会委員長の和田優子さんも語る。
「若く美しく、可能性あふれる次世代のリーダーの卵を募集し、多方面にわたる教育や経験、機会を通じて大きな成長をもたらしていきたいですね」
そんなミスの勉強会に参加した芳賀さんは、予想どおり苦しむことになる。
「自分が何をしたいか、何を目標にすればよいのかがまったくわからずにいる中で、なんてひどいことをさせるんだと。つらくてつらくて、泣いてばかりいました」
しかしそれは、芳賀さんが将来の目標を見いだすために避けて通れなかった作業なのに違いない。芳賀さんはこうも考えた。
「できないときにはできることを探してやろう。それはシンクロをしているときから自分に言い聞かせてきたことでもあったんです」
※次ページは「涙の1分間スピーチ」