戦争と軍隊と性暴力。重いテーマだ。でも現実だ。琉球併合から沖縄戦、アメリカ統治から本土復帰を経て今なお続く基地問題に至るまで、歴史的に検証を重ねたドキュメンタリー映画『沖縄 うりずんの雨』。少女暴行事件の加害者が実名で、顔をさらして登場する衝撃的なインタビューが話題を集めている。沖縄と日本を、そして母国であるアメリカをよく知る監督・ジャン・ユンカーマンさんに取材した。

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 最初に沖縄を訪れたのは1975年のこと。学生時代にベトナム反戦運動をやっていたりしたので、その延長で行ったんです。当時からアメリカの問題として沖縄を見つめていました。

 映画で取り上げた沖縄戦や基地の問題は、残念ながら、アメリカではあまり知られていません。アメリカは世界じゅうに基地を持つ権利があるという意識が強いし、世界の自由と安全を守っている国なのだから、基地が必要だと思い込んでいる。

 また沖縄は“戦争の戦利品”という意識がいまだにあるのでしょう。だから基地を返さなくていいと思っている。日本政府も返せと強くは言いません。

 安保法制の行方が心配されていますが、武力で問題を解決しようとするのが集団的自衛権。それも日本はアメリカと一緒になってやろうとしています。でも僕が思うに、アメリカはずっと戦争をし続けている国で、しかも全部、失敗に終わっているんです。

 沖縄は日本なのに、基地のフェンスの中は完全にアメリカ。そこから外に出るとき、どうしても住民を見下す目線になる。自分たちは強くて特権的な権利を持っているという意識のなかで、’95年の少女暴行事件が起こったのだと思います。

 この映画のなかで、加害者の米兵は“なぜ事件を起こしてしまったのか、わからない”と言っています。でもアメリカで同じことをするかというと、しないでしょう。沖縄だからレイプの誘いに乗ったのです。

 もう1人の首謀者が言った、“帰国する前にやってしまおう”という発想は恐ろしいけれど、アメリカは沖縄の人たちを二流市民という感じで扱ってきたし、本土への復帰後も事実上の占領が続いています。長いスパンで沖縄を差別的に見てきたことは、性暴力の事件と決して無関係ではない。