――ドラマを見たことがなくても、そのセリフだけは知っているという方も多いですよね。

牛窪:そうですね。それほどまでに、「告白」というは重要なシーンだったんですよね。だけど、いまの若者たちは告白したがらないんです。“フラれるリスクを負ってまで告白をしたいとは思わない”という20代が、男性では3人に1人、女性では2人に1人いるといわれています。

 最近のドラマを見ていても、たしかに印象に残る告白シーンは激減していますよね。

――ドラマが自由恋愛を描くという流れは、その後も続くのですか?

牛窪:いえ、それが1993年の『高校教師』(TBS系)辺りから、“第1次純愛ブーム”が起こるんです。続いて『愛していると言ってくれ』(TBS系)、このあたりは「実らぬ恋」がテーマ。『高校教師』も、生徒と先生との、許されない禁断の愛です。自由恋愛により、性が開放的になってくると、“禁断”というのは、なかなか起きなくなってきますよね。そうしたなかにおいて、“禁断”を犯してまで貫きたい純愛というものに憧れる人も多かったのではないでしょうか。

 ちなみに、バブル崩壊後には『ビューティフルライフ』(TBS系)、そして『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)などが“第2次純愛ブーム”としてヒットします。これは、どちらか一方が不治の病にかかって亡くなるというパターンです。そこに性的な要素は介在していないのが特徴ですね~。

――80年代以降に起こった、性の開放と自由恋愛。では、結婚観はどうだったのでしょうか?

牛窪:1994年には『29歳のクリスマス』(フジ系)というドラマが放送されました。ここでタイトルにもなっている29歳というのは、この頃、女性が会社から「まだ結婚しないの?」と肩叩きに遭うような年齢だったんですね。「29歳までには絶対に結婚して辞める(寿退社)」というのが、当時の女性たちの目標でした。

 いまの51〜56歳くらいの女性たちのなかには、入社して3〜4年後、寿退社を暗黙のうちに求められたという経験をお持ちの方も多いと思います。00年代に入り、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』などの影響もあって、未婚のキャリアウーマンはかっこいいという認識も広がりましたけどね。

――この未婚率、特にいつ頃から上昇したのですか?

牛窪:90年代後半〜00年代半ばですね。高学歴で就職活動を勝ち抜き、男性と肩を並べて働く「バリキャリ」(バリバリ働くキャリアウーマンの略)という言葉がバブル崩壊後に流行りましたけど、このバリキャリが急増したことに比例して、未婚率も一気に上昇しましたよね。

 ただ、最近では、先祖返りとでもいいましょうか、29歳までに結婚して、32歳辺りまでに1人目を産んで……と考える女性がまた増えてきたような印象を受けています。

*続きは、『ロングバケーション』から『モテキ』までのドラマを見ていきます。10月11日公開予定の後編でお楽しみください

(取材/編集部 構成・文/岸沙織)